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帰還
「いや・・社長以下の要するに、部下の選別さ・・それが始まっていると思ったら良い。俺らは結局駒なんだよね。会社に使われる使用勝手の良い駒」
「はあ・・・」
安藤は、落胆した表情を見せた。しかし、須崎は安藤に耳打ちをするのであった。それは、須崎が何か意図を持ち、動きつつある事を示していた。
佐伯秀一社長が復帰してきた。万歳三唱し出迎える乗組員他従業員。若菜もその席上に居た。
秀一は、わが娘とのやっと今までどおりの生活が出来ると喜び、理恵は、どこか若菜と距離感のある復帰となった。夫婦はかなり抑留生活でストレスが溜まっているようで、やつれていた。佐伯は、取り合えずの簡素な歓迎の形を持って、今回の帰還酒宴を行ったのであった。
「秀一・・理恵さん、お疲れさん。今日は早めに切りあげるからな」
「ああ・・親父、後でちょっと話があるんだ」
「分かった・・」




