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帰還
「家に戻ったら、貴女の性根を叩き直してあげるわ。良いわね」
「おいおい・・理恵。そんなに厳しく言うもんじゃ・・」
佐伯は、理恵に言うが、理恵の顔が歪んだ。
「だって・・だってお義父さん・・私がどんな思いでこの3年間・・」
泣き崩れる感情を激した理恵に、佐伯も、
「分かった、分かった。もう少しの辛抱だ。色んな事は、又ゆっくり話し合おうじゃ無いか」
理恵は知っている。この若菜の父親と母親を・・だからこそ、この血縁である若菜に対して、幼少の頃から虐待をして来た過去があったのだが・・それは表面に出る事無く、ここまで来ていた。その感情の矛先が若菜に向かう事を佐伯氏は不憫と思い、しかし、理恵の気持ちも理解出来た。若菜は母親の理恵には、懐かない娘であった。須崎はある程度この家の事情を飲み込めつつあった。しかし、あくまで部外者である。彼には、そこまで立ち入る必然性など全く無いのである。
溝は埋りそうにない。しかし、若菜が息子夫婦の子であると言う事、そして若菜にとって多感な少女時代。感情の行き先は深かった・・




