1章ー18話「コーヴァスの危機…立ち向かうはアイリス!」
‐海底洞窟 財宝の間
ミレンス「…まだですか…?」
ショウ「…はい。シュンとの連絡が…取れません。彼も忙しいんです」
ミレンス「…仲間の命が最優先じゃないのかしら…」
ショウ「まぁ、彼は計画が一番大事なのでしょう。仲間救出は2の次…と言ったところでしょうか」
ミレンス「………こんなグズグズしていたら…」
アイリス「私が財宝を持っていきますね!」
ミレンス「アイリス!?」
ショウ「…どうやら…我々の負けのようです」
ミレンス「何を言っているのです?ショウ様」
アイリス「あなた達にコーヴァスの財宝は渡しません!」
ミレンス「いいわ。あなたがそういうのなら…お爺様の命は…」
ビーバン「ワシは無事じゃよ…。まったく、まんまと騙されてしまったわい」
ミレンス「!?私の蔓を…抜け出した?なんで、そんな馬鹿な…」
ビーバン「きっと、あんたが油断してたんだろうな。罠にはまって相当焦っていたはずじゃ」
ショウ「確かに、ミレンス殿は焦っていましたね。…あなた達に気が回りませんでしたね」
ミレンス「…ク…クッソォォォォォ!!!!!なぜ…なぜ…こんなことが」
ショウ「ミレンス殿、ここで暴れたら私たちも死んでしまいます」
ミレンス「…仕方ありませんわ。ここはあきらめるしかないわ…ね」
アイリス「お爺ちゃん」
ビーバン「わかっておるあんたらも脱出するなら早い方がいい。どうせ、罠を破壊するくらい簡単じゃろう?…そしてほかの罠があることも知ってるはずじゃ」
ショウ「…確かに、この罠を破壊すると壁の毒矢が飛んでくる仕掛けがあります…それで、私たちは逃げられずに困っていたわけです」
ビーバン「…ふむ。なら、もう少し待っておれ」
ショウ「それより、早い脱出がいいってどういうことです?」
ビーバン「アイリスが言っていた話によると…コーヴァス地下大渓谷で爆弾魔がコーヴァスごと吹き飛ばそうとしているらしい。それを止めようと二人の友人が戦っていると…それを助けに行かねばならんと…。だから、今安全なうちに脱出するんじゃ。壁の仕掛けはもう少ししたら我々が解除する」
ショウ「…皮肉ですね…」
ミレンス「…フン」
ショウ「ここは、あなた達に任せるしかなさそうです。いいですね?ミレンス殿」
ミレンス「…今回はこの町も渓谷も財宝も諦めるわ」
ビーバン「なら、待っておれ」
‐コーヴァス地下大渓谷
ラッシュ「はぁはぁ…つ…強い」
ゴイル「ゴーレムさんたちとは大違いだ…」
ボンレス「それで終わりか?つまらんな」
‐ボンレスの体当たり…ラッシュに18のダメージ
ラッシュ「ガハッ」
ゴイル「ちぃっ」
‐ゴイルのギラ…ボンレスに8のダメージ
ボンレス「まったく、下級魔物とやらの攻撃魔法は本当に体に痺れるの」
ゴイル「…ここまでかよ…俺は…」
ラッシュ「あきらめちゃ駄目だよ」
‐ラッシュの攻撃…20のダメージ
ボンレス「…ハッハッハ。痒い痒い。そんなもんじゃワシを倒せるなんぞ何年もかかるわい」
ラッシュ「…そうすればいいんだろう」
ボンレス「そろそろ、終わりにするか。ミレンスとかって野郎がここを汚してしまったからな。コーヴァスもろとも爆発させよう」
ラッシュ「や、やめろ!」
ボンレス「1時間待ってやるさ。好きなところに逃げるがいい。見逃してやる。まぁ、この入り組んだ海底洞窟を1時間で抜けれるかどうか…問題だがな」
ゴイル「逃げるか…よ」
ボンレス「ふん、バカな奴だな」
‐財宝の間 最下層
アイリス「これは…」
ビーバン「これは怪盗コーヴァスがアラビアン王宮から盗んだといわれる魔術の剣。そして、これは海底神殿アトランステッカに眠る神秘王の盾…じゃ」
アイリス「やっぱり、盗んだものなのね」
ビーバン「なぜ、我々がこれを返さなかったか…それは怪盗コーヴァスからメッセ―ジがあったんだ。それを、先代からずっと引き続いていたわけじゃ」
アイリス「そのメッセージって?」
怪盗コーヴァス「コーヴァスの街長の方へ。いきなりの手紙を失礼します。私が今まで盗んだ財宝は、海底洞窟の奥に隠させてもらいました。勝手に海底洞窟の奥も改造してしまったことも謝ります。ですが、一つだけ、いいことを教えます。あなたたちにとってはいい事かはわかりませんが…。コーヴァスの地下には広大な渓谷が広がっています。今は平和かもしれません。渓谷にはいずれ魔物が住まう恐れがあります。以前から噂されていた…凶悪な魔物というものが。勝手に失礼ながら、私が旅先で仲良くなった魔物3体を海底洞窟奥地、コーヴァス地下大渓谷の門番にします。いずれ、この渓谷はあなたたちにとっていい事が起きるでしょう。それまでは待つのです。海底洞窟の中に人を入れてはなりません。コーヴァスの街長、そしてその親族のみが立ち入りを許します。私が隠した財宝はアラビアン王宮から盗んだ「魔術の剣」と海底神殿アトランテッカから盗んだ「神秘王の盾」が隠されています。コーヴァスの街に危機が訪れた時に使ってください。それぞれ財宝もありますが、決して盗まれることの無いように。いずれ、あなた達に良いことが起きたのならこの財宝を元の場所へ返してください。それまでは…誰にもこのことは言わないでください。…海底洞窟の罠や道順は後程…」
アイリス「…それで、おじいちゃんたちはみんな黙ってたのね」
ビーバン「そうじゃ。そして、今まさに、コーヴァスの危機じゃろう」
アイリス「…それじゃ、これを使って…」
ビーバン「早く助けに行くんじゃ。ワシはあの占い師を助けねばならん」
アイリス「な、なんで?あんな奴、私たちをだましていたのだろう?」
ビーバン「怪盗コーヴァスは我々にある言葉を残した。それは、後で言う。だから、まずは友達を助けにいきなさい。そして、コーヴァスを救うのじゃ」
アイリス「うん!わかった!」
‐そして、アイリスはラッシュの元へ向かっていった…
ビーバン「では、わしもやるかのう…」
怪盗コーヴァス「コーヴァスの民は優秀な者ばかりです。人が困っているときは助けなければなりません。我が父の口癖です。私の正体は…元コーヴァス街長の息子。ヴァスオ。今の生活が…父親が嫌になり逃げ場がなくなり私は盗みという過ちを犯してしまいました。今、それを告白したわけは、自分がコーヴァスの人間だからです。コーヴァスの人間は嘘をついてはいけません。昔から父に言われておりました。はじめは、近くの街や王国から金銀を盗むだけでした。しかし、いつからか、私は伝説の剣や盾まで盗むようになっていました。せめてものお詫びとして許されることではないですが…コーヴァスの平和を守るために…私は宝を隠しました。いつか、平和が訪れたらその宝を元の場所へ戻してください。最後に父上。あなたのお言葉はもう聞けないと思うと本当に自分のやったことはバカげたこと。だと感じます。いずれ、罪を償います。ありがとう、コーヴァスの皆様、そして父上。 …怪盗コーヴァス。 ヴァスオ」
ビーバン「ヴァスオ殿。我々、コーヴァスの民。人助けは必ずいたしますぞ。そしてコーヴァスの平和も…お任せください」
‐コーヴァス地下大渓谷
ボンレス「あと10分と言ったところか」
ラッシュ「くっそ…」
ゴイル「隙がねぇ」
ボンレス「私の油断を狙っているのですか?無駄ですよ。しかし、ここまでしつこいと腹が立ちますね。小賢しい。ここで殺しますか。ヴァスオ様のためにな」
ゴイル「ヴァスオ?」
???「そこまでよ!ボンレス!」
ボンレス「…逃げた女か?」
アイリス「そうよ。あなたを倒しに来たわ」
ボンレス「バカな女だ」
ラッシュ「アイリスさん…」
ゴイル「その、剣と盾はいったい?」
アイリス「怪盗コーヴァスが残した財宝の一つ。「魔術の剣」と「神秘王の盾」よ」
ボンレス「な、なんだと?」
アイリス「ここで死ぬのはあなた。コーヴァスの平和は私が守るわ」
ボンレス「…なんだと?小賢しい!お前から先に殺す」
‐ボンレスの攻撃…アイリスに0ダメージ
ボンレス「…神秘王の盾…」
アイリス「こっちの攻撃も食らいなさい」
‐アイリスの攻撃…ボンレスに85のダメージ
ボンレス「ぐはぁぁ」
アイリス「観念なさい?」
ボンレス「ガーッはッは。それなら、ここで爆弾と共に散る運命だ」
ショウ「だが、それは賛成しかねますね」
ミレンス「皮肉ですけど…ね」
ゴイル「ミレンス…ショウ様?」
ショウ「ここで、終わらせましょう」
‐ショウの大魔法 メガフレア…ボンレスに380のダメージ
ボンレス「…うぐぐぐ…」
ミレンス「この爆弾はお預けね」
ボンレス「…」
ショウ「ミレンス殿、あとは退きましょう」
ミレンス「ラッシュ。いずれ復讐する」
ラッシュ「でも、ありがとう」
ミレンス「…ショウ様行きましょう」
ショウ「そうですね」
‐ショウとミレンスは一瞬で消えた
アイリス「とりあえず…ひと段落ね」
ゴイル「みたいだな…」
ラッシュ「…一先ず出ようか?」
アイリス「お爺ちゃんもう少しで来るから待ってて」
ゴイル「そうだな」