表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚約者にすっぽかされていた妹のために、過保護な姉が怒鳴り込みました  作者: 紡里
第二章 婚約者選び

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/18

舞闘会の出場者

「お嬢、俺も来たからね」

 師匠の後ろから、青年が手を振った。


「ヴォルフ兄さんまで。何しに来たの?」

 師匠の息子で、カタリーナの兄弟子にあたる。


「木製の武器を使うんだろう。その場で使い手に合うよう、調節してやるよ」

 ヴォルフは背負っていた道具入れを見せた。


 大会のことをそっちのけで、カタリーナたちは武器の話を始めてしまう。



「ちょっと待て。参加希望が二十通も来たぞ」

 私は額に手を当て、呻いてしまった。

 求婚してきた人数の倍以上に膨れ上がったのだ。


「いいえ! この方は既婚者です」

 頼もしい婚約者ゲルトルートが、気づいて教えてくれた。憎い敵を見つけたかのように、目を吊り上げている。


 そんな感情の豊かなゲルトルートを眺めていたいが、ここは落ち着かせなければ。

「どこかで、ただの武芸大会と勘違いされているのかもしれませんね。

 取り急ぎ、既婚者と未婚者に仕分けしましょう」


 そうして二人で、参加希望者を分けていく。

 頭を寄せ合っての共同作業だ。ゲルトルートの顔が近くて、時々手が触れあう。余計な仕事の中にもご褒美があるなぁと、頬が緩む。



「わしも参加するぞ」

 カタリーナたちの輪の中から、師匠が抜けて出てきた。


「なんで? わたくしに求婚するつもりなの?」

 カタリーナが目を丸くして、師匠の背中に問いかけた。


「んなわけあるか。わしは死んだ母ちゃん一筋だ。

 都会の若僧どもにカツを入れてやろうかの」

 腕を曲げ、力こぶを見せつける。


「そういうのは、騎士団とか兵士長の仕事なので、大人しく観戦していてください」

 私は、まっとうな大人の意見を口にした。


「それなら、わたくしが参加してもいいわよね?

 わたくしも独身だわ」

 可憐な声で自己主張するのは……もちろんカタリーナだ。


 状況を理解していない脳天気さに、額に青筋が出てしまう。


「何を言っているの。あなたが釣書に興味を示さないから、苦肉の策なのよ。

 我が家の財政的に、これ以上の規模にするのは無理なの」

 ゲルトルートがお姉さんぶってたしなめる。

 ぷんぷんという文字が背景に浮かびそうな、可愛い怒り方だ。



「それなら、一般公開にして参加費と観覧料を取ったらどう?

 見世物にしてしまうのよ。

 そこで集まったお金で大きな会場を借りて、運営すればいいわ」

 カタリーナが両手をパンと打ち合わせて、目を輝かせた。


「参加費を後出しで徴収するというのは、どうかと思うよ。

 これから一生のお付き合いになるかもしれないのに、心証が悪くなる」

 私が良識に則って、説明した。

 カタリーナは暴走した牛のようだ。何をしでかすか、わかったものじゃない。


「なら、参加費はなし。

 で、婚約者募集中の令嬢をたくさんお招きするのはどう?

 公開の合同お見合いよ」


「カティ。あなた、どさくさに紛れて婚約者捜しをサボる気じゃないでしょうね?」


「え、いやぁ、そんなことは……お姉様の考えすぎでしてよ?」


「カティ! しっかりなさい! 自分の将来のことなのよ」


 相変わらず仲がいい姉妹のイチャイチャを見せつけられた。……嫉妬する私がおかしいのだろうか。



 この後、騎士団長が――頼んでもいないのに、騎士団の公開演習場を使えるよう掛け合ってくれた。

 それをどこからか聞きつけた王子たちも、観戦したいと言い出したらしい。

 ……カオス。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
うーん、師匠は、既婚者(息子あり)だったか…。息子さんは、参加してくれるのかな? もしかして武具師? 会場設置、解体にお金かかるし、最低限参加費もらっても良さそう。 とも思ったけど、全部その辺は騎士団…
師匠まで婚約者にとかで無く単純に稽古つけてやるか。 ただ、どう見ても遊びのでなくて公的な武術大会に向かって突き進んでる様な。
婿殿……  毎年度開催される大会になりかねないんじゃないかな? 婿殿の名前、冠付きで。開催者だし。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ