おまけ:婿(予定)の悩み
好評だったので、おまけを書きました。
私の妻になる人は、愛に満ちあふれている。
その愛を一身に受けて育った妹は、なかなか強かな性格をしている。そして、野生児だ。
真面目で面倒見のいい長女。
面倒を見てもらいつつ、甘え上手な次女。
それを微笑ましく見ている両親。
端から見ていれば微笑ましいが、長女の負担が大きすぎる。
もちろん、私もいずれ当主になる彼女を支えていこうと思っている。
――思っているが、もっと若い女性らしく人生を謳歌する時間が必要なのではないか?
例えば、私とのデートとか。
仕事熱心な彼女に誘われて喜んで行くと、大体、家業と繋がりがある視察だったりする。
政略で結ばれた婚約だが、一生懸命な彼女を好ましく思っている。
もっと純粋に、楽しむためだけの……私と共にいることが目的という時間があってもいいと思うのだ。
少なくとも、妹の面倒は両親が見るべきだろう。
さりげなく妹に「君はもっと自分でいろいろとできるタイプですよね?」と訊いてみた。
そうしたら、なんと答えたと思う?
「できますけど、それだとお姉様が寂しがるでしょう?」と、ニヤリ。
思わず、イラッとしてしまった。
なんだ、この、ふてぶてしさは――。
学園にもいた。
丸投げの依存ではなく、相手の負担にならない範囲を見極めて甘える、要領のいい奴。
そして、一見無邪気に感謝するから、やってあげた方も「利用された」とか「損した」と思わないのだ。
私は婿に入る予定なので、あの妹を早く嫁に出したい。
そうだ。求婚者を集めて試合をしたらどうだろうか。
その中で気に入る脳筋を見初めたらいいのだ。釣書のすました肖像画にピンと来なくても、動くところを見たら変わるかもしれない。
騎士団の友人に相談して、小さな大会を開くことにした。
初めは釣書を送ってきた人にだけ案内状を出したが、それを知って参加者が増えた。
条件は「独身であること」とした。
そうしたら……妹さんの師匠が「妻を亡くして、独身だから」と無理矢理、参加をねじ込んできた。
次に、妹本人が「ずるい。それなら、わたくしも独身です」と名乗りを上げた。
開催する意味がなくなるだろうが!
大人しく、男たちの血湧き肉躍る祭典を見学してくれ。
参加資格は独身男性だと説明したら、「わたくしより弱い殿方には嫁ぎません」と結婚の条件を増やしやがった。
誰か、この厄介な小姑を引き取ってくれないか。
いや、立候補者はいるんだったか……。




