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婚約者にすっぽかされていた妹のために、過保護な姉が怒鳴り込みました  作者: 紡里
第二章 婚約者選び

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三位決定戦?

 戦ったばかりのクラウスのために、決勝戦までしばし休憩を取る予定になっていた。


 それをアナウンスしたところ三位決定戦が見たいと声が上がる。

 ディートリヒは腕を怪我しているし、フェリクスは試合が終わったばかりだ。


 本人たちの様子をうかがうと、戦いたいらしい。


 神殿関係者の中から、治癒魔法を使える神官が手を挙げた。

「僭越ながら、わたくしめが治癒させていただいてもよろしいか?」


 超高額、貴重な治癒を、こんな遊びで使うのか? 駄目だろ。

「そのような状態でしたら、自己治癒を優先して、三位決定戦はなしで!」


 すっごいブーイングが沸き起こった。

 ちょっと、勘弁してくれ。


 東の辺境伯が「魔獣討伐なら、これくらいの怪我で前線を退くことはない。我が息子なら、まだまだ戦える」と言い出した。


 魔法騎士団からは、「魔力欠乏でもあるまいし、行ける行ける!」と応援が飛ぶ。


 え~、みんな好きだなぁ。

 でも、大会主催者として怪我人を出したくない。


 悩んでいたら、ゲルトルートにチョンと突かれた。

「この大会は、武芸を競うためじゃなくてカタリーナの婚約者を見つけるためのものでしょう?

 カタリーナと婚約したら何がしたいか発表してもらうのはどうかしら」


 め、女神。心優しく賢き女神がここにいる。


「みなさま。この大会は、武芸の大会ではございません」


 観客席や選手たちに盛大な「?」が浮かんでいる。

 みんな、忘れていただろう。だが、しかし――


「カタリーナ・グリュンヴァルト嬢の婚約者を見つけるための、極めて私的な大会です」


 ああーと、気まずそうにざわめく。そうですよ、思い出してくださいね。


「ですから三位決定戦の代わりに、婚約者になったら何がしたいかを発表してください!」


 シーンと水を打ったように静まりかえった。

 おいおいおい……。


 ゲルトルートが大きな音で拍手。続いてグリュンヴァルト男爵夫妻が普通に拍手をした。

 観客席もブーイングしづらくなったようだ。

 辺境伯子息ディートリヒと魔法騎士爵フェリクスは顔を見合わせて、困った様子。

 倒れるまで戦いたいなら、別の場所でやってくれ。後始末などしたくないぞ。


 カタリーナが俺に向かって、親指を下に向けて「不満だ」とジェスチャーをしている。

 お前なぁと、文句を言いたくても遠くて会話ができない。


 まあ、いい。カタリーナはあくまで主賓で、主催は私だ。

 好きに仕切らせてもらう。


 二人の選手に舞台中央に立ってもらい、司会者が近づいた。

 私の友人で、面白いことが大好きなお祭り男だ。


「では、お二人に質問していきたいと思います。

 まず、ディートリヒ・ザルツバッハ辺境伯令息。

 カタリーナ嬢と婚約したら、何がしたいですか?」

 声を大きくする魔道具を向ける。


「あー、東の辺境をご案内したい。

 岩塩が採れるので、料理が旨い……です。焼き魚や茹でたジャガイモも、塩を使い分けて味わってもらいたい」


「おお、いいですね。ビールも有名ですよね。

 お次はフェリクス・シュタイン魔法騎士爵。ご令嬢と何がしたいですか?」


「様々な魔法をお見せしたいです。

 水魔法で作った魚や、火魔法で作った花などはいかがでしょうか?」

 フェリクスは観客席のカタリーナに向かって問いかけた。


 カタリーナは腕で大きく丸を作る。

 観客席がどっと沸いた。


「魔法、素敵ですね。いやあ、僕も見てみたいな」

 司会がそう言うと、拍手が起きた。


「おお。これは、見たいというリクエストではないですか?」

 司会が水を向け、フェリクスは「魔法を使って良いんですか?」と訊いてきた。


 ハインリヒが、騎士団長に訊いてくれと身振り手振りで伝える。

 司会はうなずいて「騎士団長、ここで魔法を使ってもいいですか?」と質問した。


 息子が決勝へ進んでご機嫌な騎士団長は、大きくうなずいた。


 フェリクスが舞台の真ん中に立ち、目線を下に向けて詠唱を始めた。

 しばらくすると、空中に魚や花が現れて、遊ぶように飛び回る。特に令嬢たちの席からよく見えるように、ひらひらくるくると……。


 ディートリヒが槍で突くと、魚は形を変え、花は空高く飛んでいく。

 観客席ではしゃぐ令嬢たちに応えるように、ディートリヒは槍で演舞を始めた。

 力強いステップに、魚がわざと足の下に飛び込む。

 パシャリと音がして、飛び散った雫がまた魚に戻っていく。


「子どもたちにも見せたいわ」

 と、ご夫人が感嘆の声を漏らした。

 婚約者選びという大人向けの大会なので、子どもを連れてきている人は少なかった。



「あ、そろそろ決勝戦の準備が整ったようです。

 お二方に大きな拍手を!」

 司会は、三位決定戦をうやむやにして終わらせた。

 無理に決める必要はないのだから――


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― 新着の感想 ―
皆さん、やっぱり本来の目的でを忘れていた
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