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婚約者にすっぽかされていた妹のために、過保護な姉が怒鳴り込みました  作者: 紡里


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1/8

可愛い妹

 妹が婚約者にすっぽかされているらしい。


 どうやら病弱な幼なじみがいるとか。

 異性の幼なじみが駆けつけなければいけないとは、どんな状況なのだろう?

 使用人はいないのだろうか? 医師でもない素人が駆けつけて、役に立つのだろうか?

 まったくもって不可解である。


 妹は、約束のお茶の時間、ずっと大人しく待機しているとか――。

 余計なことを言わないようにとは言ったが、主張すべきことは主張しないといけない。


 このままでは、我が家が馬鹿にされているのと同じだ。

 黙っていたら、婚約者のアホを増長させる。

 なんとかしなくては――。



 まず、妹にすっぽかされた日にちと、婚約者の言い訳を書き出させた。

 妹は日記を付けているので、それほど難しくはなかった。


 ひどい。

 奴の家でのお茶会は、ほぼ来ない。

 カフェでも、公園の待ち合わせでも……。

 最初のうちは言い訳を伝えに来たが、最近はそれもない日がある。


 人として、どうなのだ?



 思わず、妹の侍女を叱りつけてしまった。

「あなた、なぜこんなことを黙っていたの?」

 婚約者の家にもカフェにも同行しているのだから、報告すべきではないだろうか。


「申し訳ございません!」

 侍女は真っ青になって頭を下げた。この侍女は男爵家の三女だ。下手な理由で解雇されたら、人生が終わってしまう。


「彼女は悪くないの。わたくしが黙っていてと頼んだから――」

 妹は必死になって、侍女を庇う。


「ええ、そうね。あなたが悪いわ」


 妹はそう言われると思っていなかったようで、ショックを受けた顔をした。


「あなたがしっかり対処しなかったから、彼女はわたくしに怒られた。

 これがお父様に知られたら、彼女は解雇されるかもしれないのよ」

 甘やかさずに、現実を突きつける。


「そ、そんな……いやよ。彼女はよく働いてくれるの」


「一番悪いのは、もちろん婚約者よ。

 でも、あなたがすぐに相談していたら、彼女の立場が悪くなることなんかなかった。

 つまり、事態を悪化させたのはあなたの判断ミス。

 自分が我慢すればいいなんて、考えたらいけないわ」

 最後は優しく言い聞かせる。


「お姉様……」

 妹は涙ぐんだ。


「結婚して女主人になるなら、受け身では駄目よ」


「はい」


「では、お父様にお話があると伝えに行ってくれる?」

 妹の侍女に声をかけた。

 自分の侍女に頼むべきかと思ったが、クビにすると恐怖を与えてしまった。廊下を歩きながら、気持ちを落ち着かせてもらおうという配慮だ。


「あなたが反省するなら、彼女を解雇する必要はないと口添えしてあげるから」

 妹の侍女にも聞こえるように、はっきりと言う。


「お姉様~」


 妹の頭を撫でながら、あの舐めた真似をした婚約者をどうするかを考えていた。


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― 新着の感想 ―
タイトルの時点で勝ちにいっている作品で、しかも“過保護な姉”という存在がただ強いだけでなく、家の名誉や妹の尊厳を背負って動くからこそ応援したくなります。妹が我慢しているぶん、姉が前に出てくれる構図が本…
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