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12 愛を貫け!男見せろや!!!

「………。」

うん、傍から見たらめちゃ神々しいよ、ガネーシャ。

結跏趺坐組んでさ、後光眩しいくらいだもん。…でもさ、


(典太君、こいつやべえ。普通マジモンの奇跡見たら宗教違っても多少はリスペクトするもんじゃん?

中々いないよこんなタイプ…。)

ガネーシャがテレパシーで語りかけてくる。

うん、俺も初めて。ってかインド人にクリスチャンっていたんだ。


(うん、いるよ。…昔は居なかったんだけどね。君の国にも昔来たでしょ、あいつら?

追っ払ったのは正解だよ。あいつら、うちの国に来てからスパイやっててさ、いつの間にかあいつら起点に国をとられちゃったんだ。)

…やめて。あんま悪く言うと筆者が煉獄に堕とされる。

で、どうするんだよ?

(………。)


あー、これこの間のアレだな。

思考がループ始めたわ。


俺が「設立申請が書類不備で通らない!助けて!」と願う。

ガネーシャは前回同様、「神の威光とワイロで解決」しようとする。

しかし相手はキリスト教徒。宗教性の違いにより「神の威光が通らない」。

すると「俺の願いが叶わない」。

そうなると「願いを叶える神という自己定義が満たせない」。

それを満たすためには「神の威光を通す」必要がある…。


こうなるとガネーシャは暴走する。

…頼むガネーシャ、穏便に、平和友好的な解決を望む。


(………チーン!閃いた、典太君。あいつがクリスチャンだからいけない!ヒンドゥーに改宗させよう!)


待て待て待て、筆者が磔にされる。やめてくれ。

…いいか、キリスト教はそこはかとなく素晴らしい思想だ。改宗の必要がどこにある?


(…いいかい典太君。愛だよ、愛。キリスト教は愛の宗教だ。『愛する者たちよ、互いに愛し合いましょう。』…信じられる?これ恋愛小説じゃなくて宗教聖典だよ?…いけるよ、この作戦なら。)


うん、そこまでの愛の宗教なら多少ネタにしても許されるな。よかったな、筆者。

(まあ見てな。…よし、丁度いい人が来た。ガンジープリズムパワー・メークウィッシュ!)


すると虚空に青い粒子が集まってゆく。…そして、一人の女性の姿を形作る。


「…ここは…どこかしら?…!!!あれは…ガネーシャ様…!!!」

唐突にこの登記局審査官執務室に、一人の女性が現れた。

そして彼女はガネーシャに跪いて涙を流しながら祈りを捧げている。


――何ということだ!…何もないところから女性が…。これはまさしく神の奇跡!!

ジョセフの表情が変わった。

――ああ、しかしなんと…美しい。神々しいばかりの美しさだ。…まるで聖母マリア様のようだ。


「…汝、ラクシュミよ──汝の祈り、我が胸奥に届けり。

我ガネーシャ、汝の信仰に応え、此処に我が慈悲を示さん。汝に生涯の伴侶を授けん。」

ガネーシャが厳かに言う。


「…汝、ジョセフよ──汝の内に在る惑い、神は知れり。

されど、奇跡を目にし、選びを得た時──名もまた新たに刻まれる。

今より汝はアルジュンとならん。

その名と共に、新たなる歩を刻め。」


ジョセフは逡巡した。

…このラクシュミという女、何もないところから突如現れた。これは神の奇跡に他ならない。

そして目の前の異教の神は目の前の女にこう言った。「汝の生涯の伴侶を授ける」と。

つまり、この奇跡を起こしたのは目の前の異教の神なのだろう。

…しかしこの女、まさに聖女だ。…クッ!私は敬虔なる神イエスの僕。異教徒の女など…!

しかしたった今奇跡を起こしたあの異教の神は、私に異教徒の名を与えた。…これは一体?


ラクシュミは顔を上げる。

…本当に、ここはどこだろう。

私は先ほどまで、ガネーシャ様の寺院で祈りを捧げていた。

…私は婚約者と思っていた男に騙された。

私の父はあの男に騙され、全てを失った。…そして私はガネーシャ様に救いを求めた。

…そしてガネーシャ様は仰った。「汝の生涯の伴侶を授ける」と。

目の前には、クリスチャンが一人、驚きながらもどこか恥じらっているような表情を浮かべている。

…ああ、ガネーシャ様。これが貴方様の御意思なのですね。


『あの…』

二人の声が重なる。


***

「汝、アルジュン──其方の神は、憐み深く、寛大にして、観照者なり。

その門は常に開かれてあり、されど、其方の神は、汝にそれをくぐることを強いず。

ただ静かに、汝の歩みを見守る者なり。

そして汝は、この言葉の示す理を既に知れり――『汝の神は、全知全能なり』

信仰を選ぶも、選ばぬも──そのすべて、其方の神の憐みのうちにある。

…さあ、此度の道を選ぶがよい。

我ガネーシャ、神々の座より汝の選択を見届けん。」


…ジョセフは、迷っている。

先ほど奇跡を起こしたこの異教の神は、私に選択を託した。…信仰を捨て、このラクシュミを娶るか、否かと。


…あの神の言うことにも一理ある。神は寛大だ。

神の門はいつでも開かれており、悔い改めるならばどのような者であっても神は受け入れてくださる。しかしそれは強制ではない。


…そういえば。幼き頃、異教徒から聞いた。人間は解脱の境地に至ると、宇宙の真理のようなものと統合すると。


…私は、当初意味が分からなかった。天国なら分かる。そこでは神の御座の下、神とともに住まい、神と対面する。神との対面は『至福直観』と呼ばれ…?神との…対面!!!


…そうか、あの異教徒の教えは、キリストの授けられた真理の見方を変えただけのもの!!本質は変わらぬのだ!!!


…あの異教はキリストの教えとは矛盾する部分も多くあるが、そもそも人間の理性では、一見矛盾しているように見える『神の論理』を整合させることはできない。

三位一体の理論では、神は一つでありながら、同時に三つの位格を持つ。

受肉したキリストは、イエスは完全なる神であると同時に完全な人間でもある。

…全て、重なり合って成立しうるのだ。ならばあの異教の教えも…


そして、あの異教の神は言った――『汝の神は、全知全能なり』。

……たった今、私は悟った。


キリストは全知全能。

ならば、『誰が救われる』かも、神は『すでに知って』おられる。


それはつまり――『人間の行動』によって『救済を引き寄せる』ことはできない、ということ。

善行を積もうが、悪行を重ねようが、救済の可否は、私の手の中にはない。


……ならば、『信仰の有無』についても、同じことが言える。

私が信じるか否かも、神の知のうちにある。


すなわち、私は今ここで選ぶことができる。

それは棄教ではない。

それは、神の知のうちにある選択。


――私の名はアルジュン。そして、ラクシュミの夫だ。


その時、ガネーシャの周囲に炎が現れる。

「汝、アルジュン──そしてラクシュミよ。

此処に我ガネーシャ、調停と智慧の神として立ち、 我が同胞アグニ──炎の証人にして浄化の神──と共に宣す。


今こそ汝らの将来を祝し、誓火を灯すとき。

この火は神々の目となり、汝らの誓いを記録せん。


――汝らの信仰と誓約、此処に示せ。

炎は偽りを焼き、真実を映すものなり。」


「…アルジュン…様。手順はご存じですか?」

ラクシュミがアルジュンに問う。

「…ああ、ラクシュミ。…では、始めようか。」

アルジュンとラクシュミは7つの誓いを交わした。

そしてアルジュンはヒンドゥー教徒となった。


「この契り、神々の御座にて認められし。

我が慈悲、今ここに示さん──新たなる夫婦よ、汝らの歩み、祝福されんことを。」

ガネーシャがその手を天に掲げると、

…天から500ルピー札が雨あられと降り注いだ。


センチュリー22の設立申請は承認された。


今回の願い事 2回

残りの願い事 981回

良寛様は、かような歌を詠まれております。

「散る花を 拾いあつめて 子供らに 見せては遊ぶ 春の夕暮れ」


この一句──花は命、子らは縁、拾うは慈悲にございます。

つまり、「散った花」にも命の余韻を見出し、それを子らと分かち合う──それこそが仏の「愛」にございます。


恋しき人を思うとき、手を伸ばせば届きそうに思う──されど、愛とは抱くに非ず、風に委ねて、なお残る香のようなもの。

良寛様は、敬愛する貞心尼にも、決して言葉で束ねることなく、想いを歌に託し、ただ見守るだけにございました。

それが、御仏の示された「愛」──自らを捨て、相手を縛らず、ただ在るに任せる慈悲にございます。


違う教え、違う言葉、違う暮らし──すれ違う中に、誰かの苦しみを見つけたならば、どうか一言「大丈夫ですか」と手を差しのべてみませう。

その手の中にこそ、御仏が宿るのでございます。

今日もまた、誰かの祈りに耳を傾け、その奥にある静けさと痛みを、共に過ごす一日となりますように。

――合掌

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