蘇るビジョン
ふと気がつくと、真魚はベッドの上に倒れていた。どうやらたどり着いた後、意識を失っていたらしい。全身、冷や汗でグッショリ濡れていた。
”気がついたようだね。”
マナが再び話しかけてきた。
「マナ・・あなたがやったのね。あんな恐ろしい目に遭わせて・・惨いことするわね。恐ろしくて、気が狂いそうだったわ。」
真魚は疲労の極限に達していたが、しばらく気を失っていた事が逆に幸いし、精神的には少し落ち着きを取り戻していた。
そんな真魚の精神状態に合わせるかの様に、マナは穏やかに答えた。
”お前が素直にあたしの言う事を聞かないからさ。自業自得だよ。あたしがお前の意識や神経に直接干渉できる事は、白いドレスの女を狩った時に分かっていた筈だろ?”
マナは、真魚がまるで学習能力がないかの様に言った。
”外部から五感を刺激するのとは訳が違うんだ。お前の皮を剥いた生の意識と、神経と、あたしは直結してるんだからね。お前が生き物である限り逆らえる筈がないんだよ。”
あの時・・
真魚の脳裏に、自分が白いワンピースの女を食い殺した忌まわしいビジョンが蘇ってきた。
それは・・
たった数時間前の出来事だった。