マナ
”あたしはね。そう・・マナとでも呼んでもらおうかしら。
「マナ・・そ、それは私の名前じゃない!?」
「固い事言わないでよ。もうあたしはお前の体の一部なんだからさ。
それよりさ・・お前、ベッドに行って少し横になりなよ。今夜はもう狩りは終わりなんだからさ。
お前、体も心もヤバい位疲れてるじゃん。お前が役立たずになって一番困るのはあたしなんだからさ。」
「な、何が休めよ。ふざけないでよ。誰のおかげでこんな目に遭ってると思ってるの?それに、もう疲れて動けないよ。」
マナは、自分が真魚にさせた事がいかに恐ろしい事なのか、全く分かっていない様だった。
もう、これ以上耐えられない。
私の中に巣食う、この化け物から本当に逃れられないのなら、いっそ・・
だが、当然の事ながら真魚の意識は全てマナに読まれていた。
”死のうなんて考えるんじゃないよ。ふふふ、もっとも、お前はもうあたしの許しがなければ死ぬ事さえ出来ないけどね。”
そして、マナは勝ち誇った様に改めて真魚に命令した。
「さあ、ベッドに行くんだよ!」
誰が行くもんか。コイツの言う事はもう2度と聞かない。例え死んでも。
しかし・・
悲しい事に、それは虚しい抵抗に過ぎなかった。
”言ってるだろう。お前は絶対にあたしには逆らえないんだよ。じゃなきゃ、あの白いワンピの女を狩るんだって拒否出来た筈だろ。さあ、さっさとベッドに行くんだよ!”
マナがそう言うと、すぐに真魚の頭の中に、何か冷たい液体の様なものが広がり始めた。