白いワンピースの女
”ドクン!!”
それは、心臓の鼓動に似ていたが、その何倍ものショックがあった。
同時に、真魚の体の芯の疼きは、液体が染み渡るかの様に、みるみる彼女の全身に広がった。
な、何、何なのこれ!?
か、体中が痒い・・
こんな体験は初めてだった。
しっかりと吊革に掴まり、体を支えていないと、膝が折れ、その場に倒れ込んでしまいそうだった。
ただならぬ体の異変。
しかも、この疼きの原因が、隣に立っている白いワンピースの女である事は、明らかだった。
な、何故!?
何でそんなにこの人の事が・・
何で体が・・
耐えがたい程の体の疼きに襲われながらも、真魚の視線は隣に立つ白いワンピースの女に釘付けになっていた。
美しい女だった。
27歳の真魚よりかなり年下、まだ20歳そこそこだろう。
小柄で華奢な体をしているが、少しタイト気味な白いワンピースが、女の美しい体のラインを際だたせていた。
綺麗だ・・
非常に魅力的な容姿をしていながら、決して変なイヤらしさはなく、ワンピースの白さと相まって、清楚な色香を醸し出していた。
本を読むのに夢中になっているのか、女は真魚が自分をじっと見つめている事に依然として気がついていない。
胸の辺りで開かれた文庫本に視線を落とした、伏せ目がちなその美しい横顔に虜になりながらも、真魚はどうして自分がそこまでその女に惹かれるのか、全く分からなかった。