6 自分の人生なら
「細く、長く、、。細く、長く、、。」
これからについて考えて見ても全く思いつかない。脳以外の場所が暇だと体が訴えて来るので、口を動かしているが、状況は何も変わらなかった。
「お嬢様。お夕食をお持ちいたしました。」
私専属のメイドであるメイが夕食を運んで来てくれた。ドアを開けると、料理のいいニオイがする。それをかぐとお腹が空いていることを自覚させられる。
(腹が減っては戦はできぬと言うしね。)
自分が今ここで食べることの正当性を自分に言い聞かせ、「いただきます!」と言って夕食をほお張る。(注:一応口いっぱいに入れないように注意して食べている)
夕食をしっかり食べて、ついでにお風呂にも入っちゃって、後は寝るだけ!!のところまで準備する。お風呂で血行も良くなったし、良いアイディアが出るかも!!と心弾ませながら、再び細く長く生きる方法を探し始めた。
しかし、十分経っても二十分経っても良いアイディアが浮かばない。詰まりに詰まった私は、私がリラックスできるようにと香を炊いてくれているメイに質問することにした。
「ねえ、メイ。どうしてもアイディアが出ないときはどうしたらいいかな。」
するとメイはただでさえタレ目でおっとりして見える目を、さらに細めて微笑んで、すごいことをいった。
「アイディアを出そうとしているテーマがお嬢様にあっていないのではと思われます。もっとご自分の好きなことをやってみるのはいかかでしょうか。」
テーマがあっていない。根本からたたき直された。さすが、母の選んだ侍女である。使用人として、一本線を引いているものの、仕えるものが望めば、適切なアドバイスをくれる。
「メイ、ありがとう。合うテーマを含めてもう一度考えてみるよ。」
「お役に立てたなら何よりでございます。では、これで私は失礼いたします。」
メイのアドバイスを受けてものの数秒で私らしい生き方、私がしたい生き方が決まってしまった。
だから、私は今後本当にこの生き方でいいのかと迷ったときのために、紙で大きくこう記す。
「脇役で終わるのならば、好き勝手させていただきます!」
と。
(王太子にどうせ振られるんだから好きなようにいきてなんぼでしょ!)