5 整理整頓をしましょう
公爵邸につくと、エントランスで母と別れ、私専属の侍女に今日の夕食を自室で食べることを伝える。
そして、急いで自室に駆け込み、ペンと紙を取りだす。それから、馬車の中で考えていたことをとりあえず書き並べていく。全て書き終わったところで、もう忘れても心配ない。と安心でき、ふうーーと息をはく。
急いで書いたから多少不格好な文字であるけれど、読めなくはないので問題ない。たくさんの言葉が書き連ねられた紙を見ながら、頭の中を整理していこうと思う。
まず、この転生した世界線についてだ。この世界は私が前世で好んで読んでいた『リハイム王国のたった一人の妃』というマンガである。
先程のお茶会に出席していたメリンダ嬢がいわゆる悪役令嬢で、この国リハイム王国の王太子を巡ってヒロインと争う話である。その勝負は当然ヒロインが勝つのだが、前世で私が推していたメリンダ嬢の熱狂的な支持者が多く存在する不思議な勢力図をもった作品である。
そして、この世界での私は元々王太子の婚約者であった。しかし、ヒロインに一目惚れした王太子が私との婚約を破棄。つまり私は、一番最初に王太子に振られ、その後一度も出番なしに消えた可愛そうな令嬢なのである。
また、私の知っている転生物語と今回の私の転生で違うことは、私が前世で読んだ転生ものは、転生者が必ず転生した後の出来事がわかっているので、スイスイトラブルを回避し、大成功をおさめるものばかりであった。しかし、私にはこれから起こる大事が全くわからない。
原作は、王太子とヒロインのイチャコラと、悪役令嬢の悔しがる姿が98%を占めていたため、今後の出来事など全く載っていなかったのである。
これらのことを踏まえて私がとれる道は、細く長く。そして前世の分まで生きれるように日々を精いっぱい全力でやることだけであった。
説明くさくなりました。もっと文がうまくかけるように精進します。