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4 名前呼び

「では、皆様。ごきげんよう。」


「「「ごきげんよう。」」」


私から切り出した別れの挨拶で全員でごきげんようといって別れる。それが定型のはずだが、それぞれがそれぞれの家族と合流せずにモジモジしている。私はこういうとき察しが悪いから、何か言いたいことがあるのはわかっても、何を言いたいのか推測できない。ただ、このまま黙っていても埒が明かないので、モジモジーズに話しかける。


「メリンダ嬢、マリア嬢、フルーレ嬢。近いうちに我が公爵家でガーデンパーティーをやる予定です。招待状をお送りしますので、来ていただけませんか?」


何か話題を振れば、喋りたいことも言いやすくなるだろう。それに、このご令嬢たちは今のところいい人ばかりだと思うから、つながりは残しておきたいしね。我ながらあっぱれと思って一人納得していると、フルーレ嬢が、驚いたような声を出した。


「あ、あの。名前で呼んでくださるのですか?」


それを聞いて、しまった。と思う。急に馴れ馴れしすぎた。なんて弁明しようかと頭を捻っていると、


「嬉しいですわ、名前で呼んでくださって。これからもぜひ、名前で呼んでいただきたいです。」


とメリンダ嬢が話す。他の二人もコクコクと頭を縦にふる。現世で初めて友達ができたように感じて思わず口がほころぶ。私も意を決してお茶会のときからずっと思っていた事をおねがいする。


「私のこともユリアと呼んでくださいな。」


令嬢たちは少し驚いた顔をしたが、すぐに顔をくずし、微笑んで「はい。よろこんで。」と答えてくれた。

新たなる絆をしっかりと感じた瞬間であった。


◇◇◇


「今日のお茶会はどうでした?」

「お友達が3人できました。とても優しそうな方たちだったので、これから会うのが既に楽しみです。」


厳格そうにみえて、なんだかんだ優しい母に質問されて、素直に答えられた。それにより、先ほどの幸せが再び感じられる。


だが、私にはまだやらねばならないことが残っている。お茶会の雰囲気で流された感じになっているが、今一度確認せねばならない。この転生とこれからについてだ。



「お母様。今日は疲れてしまったので、夕食は自室でいただこうと思います。よろしいですか?」

「何か気になることがあるなら、存分に考えなさい。」


「疲れた」を言い訳に部屋に籠もって考え事をすることがばれていたらしい。母には敵わないな、と思う。

そして、「ありがとうございます。」とお礼を言って、すぐに転生について考えはじめた。

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