15 《お父様、ハリーさん 仲良し大作戦》③
「あら、まあ、どうしましょう!!なんてことなの!!」
母にはしたないと叱られそうだが、この我が家にいるある人に、私が困っていることを伝えるために大声を出す。すると、私の想像通り、
「どうしたんだい!?ユリア!何かあったかい?」
と、父がとんでくる。
「私、昨日、商会でお気に入りのイヤリングを落としたみたいなの!!どうしましょう!!」
私は、なるべく自然に、本当に困っているような声を出す。
「それは大変だ!!今すぐに取って来るよ!!」
父は事情を聞くなりすぐに飛び出そうとするので、急いで行く手を阻んだ。
父はその行動の理由がわからなかったようで、首を傾げる。
「そのイヤリングは、まだ私とメイしか見たことがないんです。だから、探すときに私がいないと困りますでしょう?連れて行ってくださいませ。ちなみにメイは、私がお使いを頼んでいるのでまだ帰って来ませんわ。」
父に疑う暇を与えないように、急いで言いたいことを全て言い切る。
父も私の言い訳に納得したのか、近くにいた侍従を呼んで、商会へ今から向かうと連絡を入れろと指示する。しばらくして、準備を終えた私達も、馬車に乗り込み、昨日と同じように、商会へ向かった。
商会につくと、ハリーさんがまた同じように出迎えてくれた。その手には、私が昨日のうちに落としておいたイヤリングがあった。
「ようこそ、ユリアお嬢様。お嬢様が探しておられたイヤリングはこちらでしょうか?」
「ええ。これだわ。見つけてくださって、ありがとうございました。」
本当に有能すぎて、軽く鳥肌が立ってしまった。それから自然に感謝を述べ、最も大事な一手を打つべく、呼吸を整える。そして、
「今はもうお昼時だし、3人で、お昼ごはんを食べませんか?」
これが成功すれば、計画の半分が終わる。
答えが返ってくるまで、心臓の音がうるさかった。