表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Neo Universe  作者: 林朋子
8/11

8th world ~再度の崖~

辺りは荒野で隣にはガンさんが居た。握手を外し、

「無事、通れましたね。」

と言った。

「これが、フリック様の発明したゲートなのですね。ここはどんな星ですか?」

「ここは食べ物が育たなくて、嘘つきばかりの星です。でも知り合いが居るから、その人の家に行きましょう。」

「ええ、付いていきます。」

と、僕たちは小太郎さんの家へ向かった。

家の前に来た時、

「き、君は!」

と声が聞こえ、猛ダッシュで駆けつけ抱きしめてくる小太郎さんが居た。

「一周出来たんだね!良かった、ありがとう!」

「ええ、まあ…。」

「あれ、もう一人の彼、山田君じゃないな…前の世界の執事ロボットに似ているね。」

それまで僕しか見えてなかったのだろう。

「その通りです。執事ロボットのガンさん。」

「ガンさん?」

「この次の世界にフリックさんが居て、名前を教えてもらいました。」

「そうか、それは良かったね。フリックさんに会えるのか。」

「いえ、残念ながら次の世界は無くなってしまいました。」

「え?じゃあ、地球に戻れないのか?」

「ここのゲートは使えるはずです。ただ、出口が変わってしまうので、その先、どう行けば良いのかは分かりません。」

「そうか、残念。でも、ここの生活からは逃げられるってことだろ?よし、行こう。」

「決断早いですね。」

「いや、5年かかっているから。」

「確かに、そうですね。」

そう言って僕たちは、あの立て札のある崖に行った。

「この立て札は…飛び降りた所にゲートがあるのですか?」

初めてこの地に来たガンさんが立て札を見て、言った。

「そう。そして、おそらく、信じる、ということがこのゲートのキーです。」

「なるほど。君がここに居るってことは、ゲートとキーが合っているって事だから、私は100%信じるよ。」

小太郎さんがまっすぐな眼で僕の方を見た。

僕は崖から下を覗いた。一度飛んだとはいえ、とてつもない高さだ。あの時は、山田君が飛び、僕も行かなきゃと思っていたから、迷いがなかった。今はどうだろう。怖さの方が強いかな、と思っていると、ガンさんが

「行くなら、握手して同時に飛ぶ必要がありますね。」

と言った。

「そうですね。握手して、せーの、で飛びましょう。」

その方が迷わなくてすむ、そう自分に言い聞かせた。

でも、いざやろうとすると足がすくみ動かない。

「どうかしましたか?」

「いや、やっぱり怖くて、足が動かないです。」

「良いおまじないがあります。私のことをガンちゃんと呼んで下さい。」

「いや、なんで?呼べないですよ。」

「私のことをガンちゃんと呼べるのは、御主人様相当です。何があっても助けるようにプログラムされています。」

「ガ、ガンちゃん?」

「そうです。安心して下さい。私がそばにいる限り、キング様は何があっても死にません。」

「そ、そうですか?」

「はい、進んだ文明のロボットです。こんな崖へっちゃらです。私を信じて下さい。」

「確かにそうかな。分かった。これからはガンちゃんと呼ぶことにするよ。」

怖いけど、ガンちゃんを信じて今一度。




―――To the next world  再度の崖 完




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ