6th world ~ひとときの地球~
目を開けると、暗い建物の中に居た。
テレポート出来たのか。デルタの話を信じるならば、ここが地球のはず。山田君はまだ居ない。一発でキーだったので、僕が早すぎたのだろう。近くで待つか、と考えていると、ドドドっと足音が近づいてきた。そちらの方を見ると、キラリと光る大きな剣を持った鬼がこちらに向かってくるのが見えた。僕は慌てて立ち上がり、逃げた。とりあえず明かりがある方へ、行き止まりで無い方へ。それでも鬼は追いかけてくる。
途中の星であった鬼の話は本当だったのか、捕まれば跡形も無く食べられるのかと思いながら、逃げた。でも、そこは行き止まりだった。
「ここに逃げるとはな。」
鬼が低い声で話しだした。
「ここ?」
僕は辺りを見渡した。慌てて逃げたので、気づかなかったが、既視感がある。そう、ここは、僕が初めてゲートを通った、あの幽霊屋敷のあの部屋だ。
「ふふ」
僕は思わず笑った。僕は逃げ方を知っている。
「どうした?」
鬼は大剣を僕に向けながら聞いた。
「いやあ、間抜けな鬼だと思って。」
「どういう意味だ?」
「僕を追い込んだと思っているでしょ?違うのだな、それが。」
「ごちゃごちゃ言うなら殺してやる。」
鬼は大剣を更にこちらに近づけた。
このままでは殺される。でも僕は知っている。行くしか無い。
この世界ではない世界へ。
―――To the next world ひとときの地球 完