05 二の腕の硬さは胸の硬さ?
「こんな感じ。投げてみる?」
やりを欲しい拾って戻ってきた佐季が言った。
僕はやりを手に取る。
意外に重い。
僕はゆっくりと助走した。
軽く投げるとやりは佐季より大きな放物線を描き空に舞った。
「私より飛んでるじゃん。
てか、やりブレてたね。
やっぱり女子用は柔らかいのかな?」
佐季はやりの落下地点に向かった。
野球のバックホームはカットマンが取れるように低い球を投げていた。
一方やり投げは遠くに飛ばすのが目的だからある程度上に投げ出す。
それにやりは重いからあまり腕をしならせると肘や肩に負担がかかりそうだ。
しなるのはやりの固さだとしてもブレるのはやりに回転をかけれてないからか?
「簡単じゃないな。」
僕はつぶやいた。
「隼平って球速どのくらいだったの?」
いつの間にかやりを拾って来た佐季が言った。
「142キロが最高かな?でもスピードガンの精度は微妙。」
「そんなに?ちょっと力こぶ作って。」
佐季が言った。
僕が力を入れて力こぶを作ると佐季が指でつつく。
「カチカチだ。よいな。
私はこんなんだよ。」
佐季も力こぶを作り僕に触らせた。
「女子ならある方だろ?」
と返事をした。
そう言えば女子の二の腕の固さって胸の固さと同じって昔本で読んだ気がする。
思わず佐季の二の腕をつまむ。
ほどよい弾力を楽しむ。
「そこは違うから。」
佐季のパンチが僕の胸を直撃した。
ゲホッ
この回転力は砲丸投げの動きか?
かなり痛い。