32 スターマインに照らされて
「いたっ。」
佐季が後ろから押されたようだ。
僕は佐季を守るように肩に手をまわし抱きよせた。
「? ? ? 隼平?」
佐季が上目遣いに見上げた。
「こっちはもう少し余裕あるから僕にもたれて良いから。」
冷静さを装っているけどこの密着度に僕の理性は破壊されそうだ。
「場内の方が増えてきました。
申し訳ありませんがお身体の不自由な方の優先ゾーン以外の方はお座りの方はお立ちちいただけたら幸いです。
ご迷惑をおかけいたしますがご協力の程よろしくお願いいたします。」
場内放送が流れると遊具ゾーンのお客さんは前の方から立っていった。
前が立つと後ろは見えないので当然立った。
僕は佐季の腰に手をまわし立ちあがった。
佐季は両手を僕の首にまわしもたれていた。
「少しはスペース出来たね。」
僕の声をかき消すように連続して花火があがった。
夜空一面に色とりどりの大輪の花を咲かせた。
僕達はすっかりその花火に見とれていた。
「おー!」
「すげー!」
「迫力ある〜!」
「キレー!」
今日一番の音と光のファンタジーに周りから歓声が上がった。
「スゴい花火だね、佐季。」
「大きかったね、隼平。」
言葉をかけ合うと改めてふたりの距離の近さに気づいた。
今さらとまどうふたり。
あわてて夜空に視線を移した。
その瞬間、花火は上がっていなかった。
僕は佐季の腰から腕をよけた。
佐季も僕の首にまわしていた腕を外した。
僕は改めて佐季の手をにぎった。
僕の手もにぎり返した佐季の手も汗でいっぱいだった。
僕の顔がほてってるのを感じた。
また上がりだした花火に照らされた佐季の顔も紅色に染まっていた。
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