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案の定

俺の蹴りが、<エドナそっくりの部分の頭>を捉えると、ガクンガクンと動きがぎこちなくなる。やっぱ脳はそこにがあるのか。


それを確信すると俺はさらに攻撃を集中する。


怪物の方も、折れた手と言うか触角でなんとか防ごうとするが、もうどうにもならねえだろ。だから逃げりゃいいものを、そいつはまだ逃げようとはしなかった。逃げねえんなら、それこそ容赦はしねえぞ。


とまあ、自分自身にも言い聞かせる。やっぱ、見知った奴の姿をしてるのを殺しちまうかもしれねえってのは、そう簡単にゃあ割り切れねえもんだ。


割り切れなくてもやるとなりゃやるってのが、軍人ってもんでもある。


だから俺は、踏み抜くみてえにして、エドナそっくりの頭を蹴ってやった。


ボギャッッ!!


ってえ感触があって、首が有り得ねえ方向を向く。頚椎が粉砕されたのが分かった。


人間なら間違いなくこれで死ぬ。ただ折れただけなら救急処置が適切ですぐに病院に搬送し治療を行えば助かるかもしれねえにしても、確実に神経まで断裂しただろうからな。


『エドナ……さよならだ……』


そんな風に思いながらも、油断はしねえ。こんな得体の知れねえ怪物が人間と同じようにして死ぬなんてえ保証はまったくねえしな。


で、案の定、首をぶらぶらさせたままでかかってきやがった。やっぱ、脳は別の所にあったってか?


そう思ったけどよ。なんか違うな。さっきまでと違って枝に上手く乗れねえで落ちていきやがった。


地面には何とか着地したってのに、確実に動きがぎこちねえ。これはたぶんあれだな、ゴキブリとかと同じってとこだな。頭を潰しても すぐには死なねえのと同じ感じか。


本体の方にも脳みてえのがあって、頭の方の脳と連携してこのでけえ体を完璧に操ってるってえことか。


まったく、大した生き物だよ。尊敬する。こんなとんでもねえ姿しててもこの世界に生き抜くためにどうすりゃいいのかってのがよーく練られてる気がするぜ。


俺も見習わなきゃいけねえ。っても、今から体を作り変えるのは無理だけどな。


その分、頭は使いてえな。


たぶんこのままほっといてもそのうちくたばりそうな気はするもんの、何があるか分からねえし、それ以上にエドナをこのままにしておくのも忍びねえ。


だから俺は、枯れて倒れた木の枝をへし折って本体にぶっ刺して中身を確実に抉って、終わらせてやることにした。


なのによ、これまたしぶとくて、ぴょんぴょん跳ねて逃げ回りやがるんだ。


もう目なんか見えてねえだろうに、すげえ奴だぜ、本当に。



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