表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/106

美辞麗句を盾にして

結局、野生の世界じゃ役目を終えた親は、次の世代を守るために死んでいくってことだな。


それが人間社会じゃ『親を敬え』『お年寄りを敬え』ってえ美辞麗句を盾にして、親や年寄りが若い奴らに負担を掛けるんだ。


ま、『人間ってのはそういうもんだ』って言っちまえばそうなんだろうけどよ。


そんな人間とは違って、白ウサギのコスプレザルの年寄りは、衰えた体じゃあ行道(ゆきみち)からは逃げ切れねえで、一瞬で追い付かれる。


けどな、だからって簡単にゃあ諦めねえ。


「ぎゃあっっ!!」


行道(ゆきみち)に追い付かれたとなった瞬間、反撃を試みたんだよ。他の肉食獣のそれに比べりゃおとなしくても人間に比べりゃ十分に頑丈で武器にもなる爪で引っ搔こうとしてきた。その諦めねえ姿勢は大したもんだぜ。感心する。


でもなあ、カマキリ怪人相手にゃそれも徒労ってえもんだな。ましてや行道(ゆきみち)相手じゃ。


反撃にされてもまったく気にも留めねえで、行道(ゆきみち)はそいつの手をカマで捕えてわざと木の枝から落ちて、相手もろとも地面へと。


「うぎっ!!」


相手も途中で枝に掴まってぶら下がったけどな、足で。そこに行道(ゆきみち)はグイッとカマで掴んだ手を引き寄せることで自分の体を持ち上げ、相手の首に食らいついて肉を食いちぎった。


「ぎゃああーっっ!!」


容赦のねえそれに、白ウサギのコスプレザルの年寄りは悲鳴を上げて、足で掴んでいた枝を放しちまって結局、地面に落ちる。でかい岩の脇だった。落ちた時にその岩にでも頭をぶつけてりゃそのまま終わっちまってたかもしれねえ。


「げひっ!?」


で、行道(ゆきみち)は空中で体勢を整えて白ウサギのコスプレザルをクッションにした。んでもって今度は肩口に食らいつき、肉を食いちぎり、そのまま食う。


それでも相手も諦めねえ。何とか体を起こして行道(ゆきみち)を振り切ろうと必死で暴れる。


だってのに、体の大きさはまるで違うのによ、まったく振り切れねえんだよ。それどころか、行道(ゆきみち)はそいつの口に手え突っ込んで掴み、ものすげえ勢いで振り回した。振り回して、そのまま、岩の尖った部分にフルスイングで頭を叩きつけたんだ。


「パギャッッ!!」


ってえ、なんとも言えねえ音がして、白ウサギのコスプレザルの年寄りの頭が爆発したみてえに弾けた。血と脳漿が飛び散ったのが俺にも分かったぜ。


人間にとっちゃえげつねえ<グロ映像>だろうけどよ。ここじゃまあ、別に普通だよな。


<白ウサギのコスプレをした人間>


みてえにも見える奴の頭がそんな風になるのもな。


別に大したこっちゃねえ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ