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嬉しいのと同時に空恐ろしいぜ

指が折れてたのも治って本格的に行道(ゆきみち)相手をするようになったら、こいつ、ますます攻撃が鋭くなってきやがった。


まさかとは思うが俺の調子が完全じゃなかったのを承知してて、手加減してくれてたってか?


だとしたら、嬉しいのと同時に空恐ろしいぜ。こいつの力はどこまでのものなんだ?


それを見届けたいとも思うけどよ、その前に俺が殺されちまうかもしれねえな。


だが悪くねえ。行道(ゆきみち)に殺されるんならそれも悪くねえ最後だ。ここじゃあ、親を殺したところで罪に問われることもねえ。親が子供を食い殺したって罪には問われねえ世界だ。だったら逆に子供が親を殺したって罪を問うのは筋違いだよなあ。


『親を殺して縄張りを奪う』


実に合理的なやり方じゃねえか。何も間違ってる気がしねえぜ? どうせ親なんざ子供が育ちゃ消えていく存在だしよ。


そうは言っても、俺だって簡単に殺されてやるつもりなんざねえけどな。行道(ゆきみち)がどこまで行けるのか、見届けられるだけ見届けてえし。


そんなことを思ってる間にも行道(ゆきみち)はどんどん成長していった。


印象としちゃ人間の倍以上の速さで成長してる感じか。しかも別に俺が世話をしてるとかそういうんじゃねえ。蟷姫(とうき)の時と違ってイチャイチャしたりしねえのもあって、なんかもう、それこそ俺が作った巣に勝手に住み着いてるだけってえ感じだったりもするな。


会話しようにもそもそも言葉が通じねえし、人間の言葉が喋れるようになってねえしな。


それでも不思議と居心地は悪くねえ。最初からそういうもんだってのは分かってるからか、


『会話がないと間が持たねえ』


ってのがねえんだよ。蟷姫(とうき)の時もそうだった。それが普通だったんだ。


しかも成長するとどんどん母親に似ていってる気がする。


見た目には十歳くらいって感じになったら、それこそ<小さい蟷姫(とうき)>だったよ。


そうは言っても行道(ゆきみち)はれっきとしたオスだけどな。


んでまあ、よく見りゃ子供の頃の俺の写真ともどっか印象がだぶる気もするか。間違いなく俺と蟷姫(とうき)の血を受け継いでるってわけだ。


で、ある日、縄張りを荒らしに来たカマキリ怪人とばったり出くわした。最近じゃ気配消してても察することができるようになった俺でもギリギリまで気付かなかった。


「!?」


さすがに焦ったぜ。ここまで近付かれたのは最初の頃以来だったしな。行道(ゆきみち)も気付かなかったらしい。


けどな、もっと驚かされたのがこの後なんだよ。何しろ行道(ゆきみち)がそいつを一発で蹴り殺しちまったんだからな。


いくら向こうがガキ相手で油断してたみてえだったからってよ。



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