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<数>ってのはまさにそれ自体が<力>だ

イノシシみてえな獣の後ろ足に食らいついたヴェロキラプトルみてえな獣がクソほど踏ん張って動きを止め、その隙を突いて他の奴らも一斉に食らいつく。さすがの連携だ。


こうなるともう、イノシシみてえな獣の方が不利だ。何匹ものウェイトが合わさって上回ってきたしな。


しかも同時に別の方向から圧力を掛けられるから対処しきれねえ。<数>ってのはまさにそれ自体が<力>だ。それこそ始末に負えねえ強え力なんだよ。


俺だって二人や三人なら同時に相手にもできるけどよ。五人十人となりゃあ話は違う。


『何十人もを相手に素手で一人で』


なんてなあ、作り話の中でしかできるこっちゃねえよ。


それか、<トラ>と<素手の人間の素人>くらいの力の差がなけりゃ無理だろ。


俺もまあ、<素手の人間の素人>が相手なら、十数人くらいは行けるかもしれねえ。


しれねえが、今回のイノシシみてえな獣とヴェロキラプトルみてえな獣の場合は、そこまでじゃなかったみてえだな。


「ビキッ! ブキィーッッ!!」


イノシシみてえな獣もメチャクチャに吠えながら撥ね飛ばそうとはするけどよ。さすがにこれは無理だったか。


ヴェロキラプトルみてえな獣は、結局、六匹が鈴生りになって圧力を掛けて押さえ付けた上で、首に噛み付いていた奴が骨を噛み砕こうとして全力を出してんのが分かる。で、


「ギピッッ!!」


ってえ感じでイノシシみてえな獣が声を上げると、ガクッとその場に崩れ落ちやがった。首の骨がやられたな。こりゃ。


それでも脚を蹴り出してくんのがやっぱすげえ。ここまでいってもまだ諦めてねえってか? ま、無意識のただの反射かもしれねえけどよ。


いや、諦めねえから動くのかもしれねえか。大したもんだ。俺も見倣わなきゃいけねえかもな。


そうは言っても、ここからじゃ逆転の目はねえよなあ。追い払ったところで首の骨をやられてりゃ死ぬのを待つだけだ。


だが、『ナイスファイト』だとは思うぜ。いいもんを見せてもらったよ。


だんだん動きが鈍っていく様子も、俺は見届けさせてもらった。息の根が完全に止まる瞬間まで諦めねえってのは、単純に尊敬する。


蟷姫(とうき)の場合はここでもう食い始めるんだが、ヴェロキラプトルみてえな獣はきっちり息の根を止めてからってえことか。そうじゃねえと思わぬ反撃を食らって逆にてめえが死ぬ羽目になるかもしれねえしな。蟷姫(とうき)は強えからできることだってのもあるかもしれねえ。


こうして完全に死んだのを確認して、ようやく獲物にありつく。


これも<命>ってもんだよな。



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