こんな気持ちは初めてだぜ
んで、蟷姫とヤっちまった俺だが、もちろん後悔なんかしてねえ。蟷姫も、次の日にゃあ自分から求めてくるようになった。
いい、いいな。こんな気持ちは初めてだぜ。俺は自分が普通じゃねえことは分かってたしよ。俺の感覚そのまんまを受け止められるような人間はいねえって分かっちゃいたんだ。だからそんなこと期待もしてなかった。
それがここにきて蟷姫に出逢えて、俺を受け入れてくれたんだ。
「ははは……お前が俺の恩人だな」
意味は通じねえのは分かってても、思わずそう口にしちまう。
「……?」
蟷姫は当然、不思議そうに俺を見るだけだけどな。
でもなあ、蟷姫が人間じゃねえってのは、間違いねえんだよ。
ってのも、ある日、俺がこの辺りを改めて確認しようと思ってぶらついてたらな、あの<白ウサギのコスプレザル>の群れに出くわしたんだ。
それはまあ別にいいんだけどよ。なんか様子がおかしくて。
「ギャッ!」
「ギャアッ!」
明らかに怒鳴ってる感じの声を上げて、木の実やら枝やらを投げつけてるのが分かった。しかもそれを投げつけてる相手が、明らかに子供だったんだよ。
<イジメ>だな。この手の群れを作る動物ってのは、力が弱かったり成長が遅かったり群れの中でのヒエラルキーが低い奴をイジメることでストレス発散を図るらしいってのは俺も聞いたことがある。そういうもんだってな。
だから俺も、手出しするつもりはなかった。そいつをイジメさせるのをやめさせても、どうせ今度は他のがイジメられるだけだってのも分かってたし。
人間の場合だと許されねえけどな。そりゃそうだろ。人間ってのは、<ストレス解消法>も<ストレス発散の方法>も、イジメなんかに頼らなくたってあるじゃねえか。野生の動物には他に方法がねえから『そういうもの』ってえこったろ?
『人間は他の動物とは違う』
だとか偉そうなことを言うんだったら、他の動物と同じことやっててどうすんだ? おかしいだろ。
俺もまあ、<普通>じゃねえ境遇だったからくだらねえマネをしてくる奴もいたけどよ。俺の場合はその気になりゃそんな奴の首ぐらい引きちぎれたから逆に大して気にもならなかったな。虫に刺されたみてえなもんだ。虫なら潰してもなんも言われねえが、人間を潰すといろいろ面倒だしよ。
そんくらいは俺だってわきまえてたんだぜ?
その分、戦場に出りゃ容赦はしなかったけどな。
相手がガキだったことも何度もある。テロリストってなあ、ガキを盾にして隙を作ろうとするような奴らだったってこった。




