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日課

でよ、あのカマキリ怪人の奴、本当に俺を狙ってきやがった。


それこそ、朝夕の二回、日課ってえ感じでよ。最初は姿が見えなかった俺も、見分けが付くようになった。一度見付けられたら次からはもうそうとしか見えねえようになったしな。


で、朝、俺が小便しているところにカマを伸ばしてきたのを、振り向きざまに、横っ面をひっぱたいてやる。


「あのなあ。しょんべんが手にひっかかっちまったじゃねえか」


言いながら俺は蔓を噛み切って水を出して手を洗った。


確かに強えんだが、攻撃のタイミングさえ掴んじまえばいかんせんウエイトの点で俺の方が圧倒的に優位だった。俺は身長百八十超え、体重百キロ超え。対してカマキリ怪人は身長百七十程で体重も六十キロ半ば程度。はっきり言って、速さには驚かされたけどよ、残念ながら<初見殺し>ってのが正直なところだ。


速さにしたって、狙ってくるところが分かってりゃ対処だって難しくねえ。


カマキリ怪人は吹っ飛ばされて空中で回転して、それでも地面に四つん這いで着地して、姿を消す。んで、また何時間かしたら狙ってくるわけだ。


けど、俺ばっかりを狙ってるわけでもねえ。ちゃんと他のも狙って餌にはありついてる。俺だけを狙って何も食えてねえってんならちいと可哀想な気もすっけどよ、餌を取れてんならそこまで気にしなくてもいいよな。


一応、メスらしいってこともあってよ。なんかホントに可愛く思えてきちまったりもしねえわけでもないんだ。


だからって別に手加減はしねえぞ? 殺気は本物だしな。油断したら間違いなく殺されるってのは確かだからな。


そんなこんなで、夕方。俺が干し肉を齧ってるところに襲い掛かってきやがった。


肉を咥えたままカマを受け流して踏み込み、肘を縦にして正中に叩きこむ。


「ゲハッ!?」


息を詰まらせながらカマキリ怪人はのけぞったが、それと同時に足が跳ね上げられてきた。


『カマだけじゃなく足もちゃんと使うんだな』


ふと思う。


そりゃそうか。頑丈な鎧みてえな皮膚に覆われたこいつの体は、どこもかしこも鈍器みてえなもんだ。特に足は、打撃武器としちゃあ理想的だろ。それを使わねえ道理はねえな。


にしても、カマキリみてえな見た目してるわりにゃ、体の構造自体は人間とほとんど変わらねえのか。まったく、変な生き物だな。


俺自身、人間の体ってのは、野生で生きるにゃガラクタすぎるってんでうんざりしてんだけどよ。


ゴリラ並の筋力があるっつったって、それを効率的に活かせねえんだよな。人間の体ってのは、頭と道具を使うように特化してやがんだ。



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