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食い物としちゃ上等

そんな感じでなんとかかんとか<ヴェロキラプトルみてえな獣>を退けたものの、当然、気を抜けねえ。何しろあの<カマキリ怪人>が乱入してきたからな。


だが、俺が身構えながらそいつがいたはずの方に視線を向けても、そこには何もいなかった。あのカマキリ怪人も、そいつが捕らえたはずの獣も。


「ふん。なるほど。俺に気を取られてる隙を狙ったってえことか」


独り言が漏れる。そうだな。獲物を捕らえて自分はさっさと立ち去ったってえことだ。大した奴だぜ。


なんとなくそう感心しながら、俺は、地面でのたうち回ってる奴らの頭を次々踏み砕きながらとどめを刺していった。人間相手なら『外道』とか言われるかもしれねえが、ここじゃそんな理屈は通用しねえ。


こうして、<ちょっとでけえ犬>くらいの獣四匹をゲット。これなら何日か分の食糧の心配は要らなくなったかもな。


俺も少しばかり怪我はしたが、これもまあ、舐めときゃ治るだろ。


みてえに思いつつも手近なあの蔓を噛みちぎって水を出して、傷口を洗う。てえと塗った泥が流れてやっぱ透明な体が見えてくる。


「血も透明ってなあ、なんともだな。痛みでだいたいのところを想像するしかねえってか?」


ぶつぶつ言いながらも、血が滴ってる感触はねえからもう血は止まってるんだろうよ。後は傷口が勝手にふさがるのを待つしかねえ。


てなわけでそっちはいいとして、獲物の方の<血抜き>もしなきゃいけねえな。


だから俺は、手近な木の枝をへし折って歯でバリバリと噛み砕いて先を尖らせていき、ナイフの代わりを作った。


まあそうは言っても<切れ味>なんてなあありゃしねえ。力任せに獣の首に突き立ててやって引き裂くだけだ。手で引き裂くよりゃちっとはマシってだけだな。


んで、獣の後ろ足に蔓を巻き付けて逆さに吊るして、血が抜けるのを待つ。こいつらも血の色は赤なんだな。だったらやっぱ食うには問題ねえだろ。


宇宙には、人間にゃあかなりの毒になるカドミウムを血液の材料にしてる生き物もいるらしくてな。当然、食うことは禁止されている。そもそもその手の地球外生命ってのは大体保護されてっから食うどころか近付くことも禁止されてたりするのが多いけどよ。


だがこいつの血は地球の動物の血の色と同じで、味も同じだ。なら、食い物としちゃ上等だろうさ。


で、そうして血抜きをしてる間、少し周囲を探ってみる。他にも同じようなのがいねえかどうかというのと、さっきのカマキリ怪人がいねえかと思ったんだが、あったのは、首の辺りから胸の辺りに掛けて食い荒らされた<ヴェロキラプトルみてえな獣>の死体だけだった。



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