冬の終わり、春の陣
暖かな日差しとは裏腹に、冷たい空気が肌を刺す朝のことだ。
「愛してる」
突然の告白に驚きを隠せず、戸惑いを隠せない中「愛してる」と、友人が続ける。
「愛してるんだ。どうしようもないくらい」
「き、急にそんなこと言われても……」
「結婚相手として、両親に紹介したいくらいなんだ」
思いもかけない告白の衝撃から抜け出す前に、二度目の爆弾が投下され、脳内が更地になる。
「親御さんが泣くから、やめろ」
「わかってるさ。それが叶わないことくらい。でも、どうしようもないんだ……っ!」
「お前が本気だってことも、それだけ愛が深いことも理解してる」
「それなら、どうして……!」
俯き、震える声で思いを訴えてくる友人に自分の気持ちを伝え、顔を上げさせる。
「どうしようもないんだよ」
今にも泣きだしそうな友人と目が合い、罪悪感にさいなまれながら優しく告げる。
冷たい空気が肌を刺している一方で、暖かな日の光が差している朝のことだ。
「コタツの季節は、とっくに過ぎているんだ」