時空嵐
人型はアメリカ海上を飛行していた。
アクシデントもなく領海海域を離脱しようとしていたが突然アラームがなると役150m近いエリアで何も無かったはずの空間から、突然全身を赤色と金色の鎧と兜を装備し肩から腰までの長さがあるマントを羽備り手や腰には剣に斧、槍、大剣、盾、大盾、杖と種類が異なる武器を手にした武装集団が続々と姿を現し最後に出現したのは白銀の鎧と金兜の大男で、獲物は腰にさした大剣だけである。
「状況は?」
「我が部隊の数名からの情報によればどうやらクロームの野郎の確保に失敗したもよう。このままではズフィードクルム刑務所に収監されてしまうますがどうしますか団長」
大男は団長と呼ばれその問いに答えたのはこの大集団の副団長を務める女で、その団長と副団長の周りを団員らが護衛し周辺の警戒監視をしていた。すると監視していた大集団の1人がある事に気付いた。
「ホークアイ…っっぅ」
「?どうしたエル?」
仲間の1人の異変に近くにいたのが気にかけた。
エルと呼ばれた女性は斥候でスキルホークアイを使用し何かをみて驚愕した。
「報告前方距離100余りに人型、死神です!」
「なんだと?」
「馬鹿な」
「くそおお仕事って時によ」
「貴様ら静まれ、静まるんだ」
「喝ーーーーーつっぅ」
死神そのワードを出した瞬間団員らは動揺しザワザワとし始め、副団長が宥めようするが収まらずみかねた団長の叱責で動揺していた者達は正気を取り戻した。
「確かエルであったな?」
「はっそうです団長」
「貴様のスキルはホークアイだったな?」
「はいその通りです」
ホークアイ
スキルによって視力が高くなり遠方を視る事ができ阻むのがなければ数百mは軽く視る事が可能である。
「よしエル貴様の言葉とスキルを信じる」
「ありがとうございます」
「全軍進軍開始!本当に死神がどうか確かめる」
(くそあの女が余計か事を言わなければこんな事態にはならなかったのに。
あれがもし死神なら団長は間違いなく戦うだろう。
死神の戦闘力は明らかに異常なのだ)
心の中で恨み事を吐きながら集団は移動を開始。
一方人型も移動をやめホバリングで空中に停止した状態で、搭載されているハイパーカメラを起動させ解析を行った。ハイパーカメラには数量把握機能があり自動で数の算出を測ってくれる。算出の結果数は100で解析機能での分析では相手が所持している武具らはそれなりにグレードが高く中々良い装備であった。
中でもマントには希少な飛翔と引力低下が付与。
飛翔と引力低下はどちらも魔法スキルであるのだが系統が全く異なる魔法で、本来の飛翔は風魔法第7位階で引力は重力魔法7位階である。
どちらの魔法も高位魔法であるのだが特に重力魔法は特別でロストマジックと区別されている。
ロストマジックとは言葉通りの意味で使い手がおらず幻の魔法で重力以外の魔法もあるという。
集団は目視ができる範囲で停止しまじまじと人型をみて団員が悲鳴の様に叫んだ。
「団長奴です死神に間違いありません」
「クククようやくようやく逢えたな死神!
マフィア崩れなど最早どうでもいい。傭兵死神貴様を始末し我等が組織グリムグレイムこそが傭兵世界の真の頂点である事への証明させて貰うぞ。
者共聞けこれよりグリムグレイムは死神抹殺に移る。奴を見事討ち取ったものは1000ドルと俺が貯めている宝を何でも1つくれてやろう」
団長が宣言すると団員達からは歓喜の声があがる
金も魅力的ではあったが団長はレアアイテムコレクターであったからだ。
同じ傭兵で同業者だとしても味方ではない。
人型いや彼もそしてグリムグレイムも争いを生業にする職業傭兵で、利益を対価に依頼人が提示した仕事を遂行する存在。要人警護、暗殺、代理戦争と言った様々な依頼があり、政治利用で働く事が多く世間からしてみれば厄介極まりなく危険な存在である事には変わりはなく人々は皮肉を込め傭兵を戦争屋と呼ぶ。
傭兵でも仕事内容や組織の理念・理想は様々で人の為に動くのもいれば金儲けの為刃を振るうのもいる。
商売ライバルの中には悪質な奴らも中にはおり妨害や要人暗殺、人質、爆破テロなどで仕事の邪魔をされても穏便に済ますこ事もあるが度を超えた組織には、単身で乗り込み組織のメンバーを排除したり拠点を制圧して価値が高い武器や防具アイテムに、盗難された品物や宝は全て強奪したりして徹底的に叩き潰したりもしてきた。
(さて突破するのは簡単なんだがな。
アイツらの装備品にアイテムをストアで売ったらいい稼ぎになりそうなんだがな)
逃げるか戦うか考えてる間に大部隊はあっという間にら彼の周りを囲み臨戦態勢をとっていた。
大盾を持つ団員ららタンクで敵の注意を引きつける役割を持ち後衛の壁役を担う。タンクの後ろにはタンクと同じ接近戦を得意とする団員らがおり更に後ろには弓使いと魔法士達。彼は戦うかと軽いノリで横肩に装備されている銃器T700-対物ライフルを手に取りセフィテーを解除した。
ランク6 T700対物ライフル アースデ
大口径型狙撃銃の物理兵器で弾薬は70mm装弾数15発。大威力を誇り壁や岩でも貫通する貫通性を持つ。
先の暴動の時この銃による狙撃を行った超狙撃銃。
「先手必勝弓部隊放てー」
「弓部隊放てー」
「「「チャーグルシュート」」」
「「「ペルクシュート」」」
「「「ブレアアロー」」」
先に動いたのはグリムグレイムであった。
団長が号令をかけると副団長が復唱を行い団員らに指示を出した。指示された弓部隊から繰り出される弓スキルは4位階、5位階、7位階のスキルで追尾と貫通を重視したスキルが彼を襲った。
「よし釘付けになってるな。
魔法士部隊高位魔法を発動せよ」
「魔法士部隊発動せよ」
「「「フレアバースト」」」
「「「アクアリウム」」」
「「「トリスマルセ」」」
「「「ガンぜロガ」」」
指示を受けた魔法士部隊は火、水、風、土の4属性で第8位階の高威力の魔法を放った。
彼がいた場所は様々な属性攻撃により属性爆破を起こしていた。然し依然として彼からの反撃はなかった。
〖 タンク隊20名の防御は今の所活躍はないがこれはいい。弓部隊20名による先制攻撃に加え魔法士部隊20名による高位魔法による波状攻撃。
そして主力部隊40名相手は1人だ。
負けるはずがないのだ!〗
炎、風、水、土と属性が違う魔法と弓矢による四方八方からの波状攻撃は30分間続けられた。
「攻撃やめー」
号令がかかると波状攻撃が止み彼がいた場所は黒煙があがっていた。弓矢部隊と魔法士部隊は荒い息遣いで黒煙の方をみていた
「はぁはぁざまぁみやがれ」
「俺達は勝っ」
誰も彼もが勝ったと喜んでいたがドーンと腹に響く音がなったかと思うとタンクとその背後後衛を含めて一直線に体に穴が開き大量に血を流しながら8人ほど海へと堕ちて行った。
「ジャン、マルホ、アユ」
「いやージェイコブ」
「な、何が」
「ハハッ仲良くあの世に送ってやんよ」
あの轟音は対物ライフルが発射した音で銃口からは硝煙が出ていた。
「きっさまー」
1人のタンクが仲間が殺られた事に激高し鞘から大剣を引き抜き彼へと斬りかかった。
彼は後ろ腰にある折りたたみ式の大剣を取り出し猛スピードで接近し大剣を振り下ろそうとした。
するとタンクは「甘い」と大盾を前に出し防御スキルタワーストーンを発動させた。
防御体勢は完璧の状態であるのだか彼は躊躇する事も無く大剣を振り下ろした。すると彼が持っている大剣はタンクと大盾を綺麗に難なく真っ二つに切り裂いた
ランク5 NT43-振動内蔵型バスターソード グル
大剣内部に振動発生装置が内蔵され高速振動で発生させた熱エネルギーにより通常では考えられない切れ味で切断するか又は溶断、殺傷能力が高い。
「な〜にが甘いだ。
甘いのはてめぇだろうが」
「嘘だろジョージー、ジョージ」
「逝っちまいな」
「つ……が?」
彼は肩部に装備されているSM-9ビームランチャーの砲口を団員らに向け発射させた。ビームは射線上にいた数人が巻き込まみながら肉体を完全に消滅させた。
ランク6 SM-9ビームランチャー グルダン
左肩に装着されているビーム兵器。
S粒子を圧縮させビームを放つ
射線軸外にいた傭兵らは怒り狂った。
その中でも激怒する者がいた。
「おぉぉぉぉぉぉ、イフォルダス」
怒り狂った団長が魔力を瞬間的に爆発させ身体能力を活性化させ猛スピードで一気に接客し、両手剣イフォルダスを振り下ろした。彼は防御しようとしたが間に合わず当たってしまった。
「団長が死神に当てたぞ!
流石団長だぜ」
「「「ウオオオオオアアアーーーー」」」
「ぬ」
「俺に当てやがっただと?けどなそんな生温い斬撃じゃSAの装甲を破壊できるわけねーだろ」
SA
人型の呼称で正確にはスフィアアーマー。
機械を全身に装着させ生身を保護し防御力と戦闘力を備えたS搭載機。
距離を置きシステムでSAのダメージチェックをした。
(SAに多少の傷が付いちまったか。
あの大剣何か特殊なスキルついているな。
粒子量は……ちっ半分か。
遊び過ぎたな、早いとこ勝負をつけねーと)
S粒子
SAの動力機関で背中にあるSドライブと呼ばれる粒子放出機関からは赤緑青の3色の粒子が放出される。
S粒子又はと省略。
謎の多い粒子である。
彼はバスターソードを構えると猛スピードで接近しバスターソードを振り上げた。団長もイフォルダスを盾代わりにガードしたが彼の猛攻は止まらない。それどころか一撃一撃が重く防ぐのが精一杯だった
「ぐぅ…ぉぉ…」
「諦めてさっさと死ね」
斜め上回転斬りで団長のイフォルダスを飛ばした。
更に追い討ちで蹴りをいれ団長を吹き飛ばし体勢を崩した。隙ができトドメとばかりにバスターソードで切り裂こうとするも背中に衝撃が走り爆発した。
団長の生命を守ったのはエルであった。
彼女は弓矢がセットされてない弦を引くとそこに炎と風の魔力が集まってきた。
「イーグア・ホロ」
弦を離すと炎と鳥と風の狼が数十体も現れ彼に襲いかかった。すぐさま回避運動を取りながら対物ライフルとビームランチャーを連射し迎撃したが数が多くまるで意志を持つかのような動きであった。
「鬱陶しいんだよ」
イラついた勢いでビームランチャーを最大出力で照射した。放たれてビームは炎と風の獣らをビームの熱量で消滅させるが、ビームはそのまま海上に降り注ぎ水蒸気爆発を誘発させ海面はブクブクと沸騰する。
「そんな秘技を」
(ちっ特殊なスキルか。
操作系?いや違う何か別の力を感じた。
今ので砲撃で粒子量が残り僅か、仕方ない撤退を)
撤退を決心し離脱しようとするがアラームが鳴り響きSAの真上に時空嵐が出現した。
時空嵐はS指定の特殊自然災害に認定され何故起こるのかが不明でメカニズムが確立されていない。
巻き込まれれば生命の保証が0で過去に時空嵐に巻き込まれ帰って来た人間は皆無。
「全軍撤退急げ巻き込まれれば消滅するぞ」
団長はエルを抱えると全部隊に退避命令を下した
団員らは我先とエリアから次々と離脱し始めた。
「粒子足りるか?OVERDRIVE発動」
SAは異常な程の出力で現地点から離脱し始めた
然し最悪な事に彼は時空嵐の中心におり尚且つ、引力の力が余りにも強く進めない状況。時空嵐は膨張し遂には彼を飲み込み最後は消滅した。
この日を持って死神の目的情報はなくなった