廃止による終結
『残りプレイヤーが10人になりました。残ったプレイヤー、及びもも、アンブラァ、hawk bridgeのみなさまは決戦場に集まってください。繰り返します。残りプレイヤーが……』
遂にここまで減ったのか。決戦場はカリ・ユガの時代の会場だ。そこに移動すると、ももと高橋さんの他に、8人のプレイヤーがいた。一緒にきた吉田さんを含めても1人いない。
観客席はいっぱいだけど、もしかしてそこに隠れているのかな?
「とりあえずー、今集まってるだけでやっちゃおうかー」
そんな気の抜けたもものセリフで、戦いは始まった。
流石はここまで生き残ったプレイヤー。一対一で同等とまでは言わないけど、二対一だとかなり苦戦してしまう。
私にしたってそうだ。こんな狭いスペースであのバグを使ってしまうともも達を巻き込んでしまう。だから本気を出せないのもあるけど、それを抜きにしても彼らは強い。
攻撃を先読みされているかのように避けられる。プロボクサーは相手の筋肉の動きで次の行動を読み、パンチが来る前から既に避け始めているらしいけど、まさにそんな感じだ。攻撃が全く当たらない。
とはいえ、それはももだって、私だってできる。
相手が回避するのを予測して、避けた先を刀で切り裂く。彼は断末魔を残すまでもなく消え去った。
一人倒せばあとは簡単だ。猛攻を繰り出し、回避も防御も追いつけないほどに切り裂いた。
私が終わった時には、みんなも倒し終えていた。
「あと2人ですね……1人は醸し人九平次さんですが、最後の1人はどこでしょうね」
すると観客席から一つの声が聞こえた。
「最後の1人さえやられなければいくらでも復活できるんだ。当然隠れている」
なんで今まで気づかなかったんだ。私以外にはその戦法で絶対に勝てるではないか。
観客は席から離れ、雪崩のように決戦場に降りてくる。
今のHPでこの数相手は無理だ。バグも使えないとなると、彼らの復活を止める手段がない。
関心と焦りが半分ずつ感情を支配する中、最初に動いたのは醸し人九平次さんだった。
「オラ! かかってきやがれ!」
そう啖呵を切ったものの、圧倒的な物量相手になにか策があるわけでもなく、彼の行動は単純な突撃だった。
そんな事をしたって勝ち目は万に一つもない。
けど、味方の士気は確実に向上した。
「私も協力するよー」
「やらなければどうせ負けてしまうなら、最後まで抵抗してみせるさ」
2人は彼に続いて敵軍に向かっていった。
3人は数の差も気に留めずに次々と敵を蹴散らしていた。
「ウッ……」
だが、やはり無策で勝てる相手では無かった。
醸し人九平次さんは敵の槍を腹部に受け、一瞬怯んでしまった。その一瞬で追い討ちを喰らってしまうと、そのまま押さえつけられてしまった。
「離せ! 離せよクソ野郎!」
身動きを封じられたまま、斬られたり、刺されたり、撃たれたり。
そして、ついに彼のHPは0になり、消滅した。
『プレイヤーが残り1人になりました』
機械音声が虚しく鳴り響く。
これだけ奮闘しても、敵総数は減っていない。どころか会場の外からも新しく入ってきて増えている気すらする。
こちらのHPは減り続けるし、疲労だってする。なのに向こうは強化され続けるのだからもう手に負えない。
絶望に打ち拉がれていると、突然パチンッ、と指を慣らした音が響いた。同時に目の前の空間が歪み、RKが誰かを小脇に抱えて出てきた。
「そんなつまらない事やるなよ」
そう言うと、彼は持っていた刀でそのプレイヤーを切り捨てた。
『全プレイヤーが敗北しました。アンブラァ側の勝利です』
あまりに唐突な終結に困惑していると、RKが嫌な笑みを浮かべた。
「それでは引き続き、楽しい楽しい最終決戦を味わってもらおうか」
「ふざけるな! これで終わりのはずだろ!」
「誰がそんな事言った? 次で最後だ」
「それでー、最後は何かなー?」
「その前に、お前達は邪魔だ。最終決戦はアンブラァと俺だけだ」
すると景色が変わり、虚言の洞窟に似た謎の闘技場に移った。同時にHPが満タンになっている。
「最終決戦は俺とお前の一騎打ちだ。俺のステータスはお前と同じになっている。それとこれまでのバグは全て修正した。これで同じ条件だ。さあ、フェアに戦おうか」
やはりか。最後の最後はこんな戦いになるだろうと思っていた。
私に似せて作られたアバターを見た時から、彼は同条件で私を倒したいのだろうと予想できた。
だからこそ、その対策を考えてここまで来たんだ。




