表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/50

ももによる暗殺計画

 ここは始まりの街の地下水路。真っ暗だし、迷路のように入り組んでいるし、足元はグチャグチャでなるべくなら居たくない。

 でも、私の耐久力だと不意打ちが一番怖い。だからここを通るのが一番安全だろう。

 とりあえずいい策が浮かぶまでは身を隠すに限る。下手に動いて死んでしまっては、他の仲間に迷惑をかける事になる。

 とはいえ、追ってきた人を倒すくらいの活躍はする。

「はーい。ストップして」

 一人の男が姿を表すと同時に、十数人が私を囲むように現れた。

 だけど私は言葉を無視して、一直線に歩みを続けた。

「止めたいならさー、止めてみなよー」

 声をかけてきた男の横を過ぎ去ろうとした時「待てよ」と言われて肩を掴まれた。

 その腕を起点にして、私は背負い投げを繰り出した。

 地面に寝転がり、何が起きたか理解できていない男の首筋にナイフを突き刺し、首を跳ね飛ばしてやった。

「今気分が悪いんだよねー。邪魔するとさー、殺すよ」

 みんな固まって動かなくなった。度胸なしだなぁ。私なら仲間がやられたら復讐に燃え上がるけどなぁ。

 彼らにはもうすっかり興味をなくしてしまった。どうせアンブラァが倒してくれるだろうし、私は放置でいいかな。

 そう考えて、地下水路を再び歩き始めた。

「待て」

「まだ何か……あれー?」

 目を離した一瞬の内に、何故か敵が全滅していた。

 いや、正確には一人だけ残っているが、こいつは敵なのか?

 その風貌は、ryuutaのアバターそのままだった。

 ただのファンって事はないと思う。こんなに強いのはryuuta以外ありえない。でも、ryuutaが存在するなんてありえない。だって森川はアンブラァでログインしているはずだから。

 だから、可能性があるとすれば、敵の見せている幻覚か、RKがこのデータで接触を図ってきたか。そのどちらかしかない。

 つまりは敵だ。

「アーマードゾーン」

 最初から本気だ。RKなら本気じゃなきゃ勝てない。

 懐に入って拳を繰り出す。だけどryuutaは杖で上手く防がれてしまい、本体まで届かない。

「君は誰かなー?」

「……敵じゃない。だから拳を下ろしてくれ」

「敵じゃない証拠はー?」

「……ない」

 話にならない。これ以上話を聞く価値はない。

 私は死角に回り込んで攻撃した。それには対応しきれなかったらしく、直撃した。

 やっぱり偽物だ。ryuutaなら簡単に躱せたはずだし、さっきから防御だけで手一杯で、攻撃に転じられずにいる。

「待て! お前には殺して欲しい奴がいるんだ!」

「へー。どうせ全員殺すからー、安心して逝ってねー」

「ああ……えっと……後は何を言えば……」

 悩んでいるからか、目が泳いでいて戦闘どころではなさそうだ。

「俺は……このデータの持ち主に頼まれて来たんだ!」

 私は攻撃の手を止めた。

「本当ー? じゃあさー、本人に確認していいかなー?」

「……構わないが、お前達はフレンドでもないのにどうやって確認するんだ?」

 ……なるほど。確かに、アンブラァの誤作動で今はフレンドではない。それを知っているって事は、普通の敵とは違うのかな? RKの可能性はまだあるけど、本当にアンブラァが向かわせてくれたならむげにもできない。

「……分かったよー。信用してあげるねー。でも、変な動きしたらすぐに切り刻むからねー」

「それは信用してるのか? まあいいけど」

「で、君の名前はー? なんて呼べばいいのかなー?」

「……言えない。何も言えない」

「……へー。じゃあryuutaって呼ぶねー。で、なんで人を殺したいのかなー?」

「……それも言えない」

 言えない事ばかりか。こんな人を信用しないといけないの? アンブラァも無茶な頼みをするなぁ。

「なら誰を殺したいのー? 言っておくけどー、これも言えなかったら何もできないよー」

「大丈夫だ。それは言える。ターゲットはYOSHIDと言う男だ。他はhawk bridgeに任せてある。それと、殺して欲しいと言うのは言葉の綾で、本当の事を言うと、アンブラァの所に連れて行ってもらえればそれでいい」

「それはなんでー?」

「……言えない」

 また言えないか。連れて行くだけでいい? 私では倒しきれないほど強いって事かな?

「じゃあそこまで連れて行ってもらえるかなー」

「ああ、了解だ。俺に続け」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ