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廃人による邪龍戦

 プログラムを覗いてどうにかここまで来た。邪龍は目の前にいる……らしいけど、影以外見えない。またバグか。それとも影に住むモンスターなのか。

 その奥でhawk bridgeさんが力なく壁にもたれている。

「大丈夫か?」

 彼とはだいぶ距離があるから、声が届くように大声を張り上げた。

「ああ……大丈夫だ」

 良かった。とりあえず……この邪龍を倒して彼を助けるとしよう。

 私に噛み付こうとした邪龍の影を見て、誰よりも早くももが動いた。

 彼女は私の目の前に移動して、短剣で防いだ。

 敵の攻撃力を考えると彼女が耐え切れるはずもないのだけど、装備を変えていたし、新装備の能力だろうか?

「もも、今のはなんだ?」

「カリ・ユガの能力だよー。ジャストガード時にダメージ無効だってさー」

「使わないって言ってなかったか?」

「そのつもりだったけどねー。仲間のピンチだからねー」

 このゲームは装備箇所が武器以外に四箇所ある。なのでこれと同等くらいの異常な能力があと三つある事になる。これは確かにズルイな。

 ももの能力で守って貰い、私は悠々と呪文を詠唱した。

「ゲニウス」

 幾度となく攻撃を繰り返す邪龍の攻撃を、完全に捌き切った上で反撃までしている。

 何度か繰り返すと、邪龍も学習したのかジャストガードが難しい継続ダメージのブレスをした。

「空蝉」

 彼女は邪龍の背後に瞬間移動した。背後、と言っても影だけの邪龍の背中なんてどこにあるかわからないので、ただ単に影の後ろに立った、と言うだけだ。

 ……マズいな。ももが避けた影響で、ブレスを正面から受けてしまいそうだ。私もRKさんも、回避が間に合いそうにない。

 そう考えていると、ももは短剣を握りしめ、影に突き刺した。

 すると邪龍は怯み、攻撃を中止した。

「攻撃時に相手の攻撃をキャンセルする能力らしいよー。酷いねー」

 本当に酷い能力だ。とくに、手数の多い暗器にそんな能力があっては手も足も出ないだろう。

「アルケイデース……ウェポンチェンジ『刀』」

 そうこうしている間に、私の戦闘準備が完全に整った。

 私とRKさんは同時に刀を構え、同時に宣言した。

「居合、一騎当千」

 全く同時に放たれた二人の剣技に、床ごと切り刻まれた邪龍は堪らずに影から勢い良く出てきた。

 私とももはずっとそう言うモンスターだと思ってたので、影から出てきた瞬間に驚いた。

 HPは……残り半分。これなら倒せない事は無さそうだ。

 RKさんに視線でメッセージを送ると、それを見ない内から私のやって欲しい行動を先にやってくれた。まるで手足の延長のように、以心伝心の様に息の合った行動ができた。

 邪竜が射程距離まで降りてきたと同時に、刀を天高く突き上げた。

「一刀両断」

 私がそう言うと視界が暗転した。暗転している間にも、龍の悲鳴や斬撃音が何度も響いた。

 暗転が終わると、邪龍のHPは四分の一になっていた。ももとRKさんが攻撃していた。

「もう一回!」と私とももが息を合わせて叫ぶと、

「一刀両断だ!」とRKさんが技を使った。

 視界を奪われた状態で攻撃を当てるのは、普通ならかなり難しい。だけど、ももは私の目の前にノックバックする様に攻撃をしてくれる。私も私で、来た邪龍を的確に返している。ちょうどキャッチボールの様な感じだ。

 そうして暗転が解除されると同時に邪竜はHPがゼロになって消滅した。

「ふぅ、終わったな」

「みんな息ぴったりだったねー」

「そうだな……hawk bridge、大丈夫か?」

 私はhawk bridgeさんに声をかけた。hawk bridgeさんは下を向いて、大丈夫には見えない。

「大丈夫だよ……うん、大丈夫。ほら、終わったから早く報告にしよう」

 なんだか、すぐにこの場を離れたい様な言い草だ。言い分自体は適当だけど、言い方がそんな印象を与えてくる。

 でも、確かにその通りだ。

 私達は村まで戻って来た。村長も変わらずに村に居た。

 ギルドマスターなので、報告は私がする雰囲気になっていたけど、この村長苦手だなぁ。怖くて怖くて仕方ない。

 その心を汲み取ってか、RKさんが前に出てくれた。

「村長。終わったぞ」

「おお、ありがとうございます。邪龍の瘴気がこの大陸から消えました。モンスターも消え、本当に蜉ゥ縺九j縺セ縺励◆」

 また文字化けだ。本当は『助かりました』と言っている。

「ああ、どうでもいいから早く報酬を出せ」

「縺薙l縺後%縺ョ譚代↓莨昴o繧倶シ晁ェャ縺ョ骼ァ 『遐エ鬲斐?閨冶」?y』縺ァ縺」

『これがこの村に伝わる伝説の鎧『破魔の聖装備』です』そう言って村長が手渡した物は甲冑だった。白い魔法陣の模様が刻印され、自分から少し光を発している。

 RKさんは貰ってすぐhawk bridgeさんに渡した。

「ほら、お前が一番使えるだろ?」

「ん。確かにそうだね。甲冑なんてみんな使わないからね」

 hawk bridgeさんは早速それを装備した。

 元の装備とほとんど変わらないけど、魔法陣や刻印された細かい呪文などが、前衛職というイメージと微妙に合っていない気がする。端的にいうと、似合わない。

「どう思うかな?」

 と訊かれてしまって、本音を言うか迷った私は、

「かっこいい」

 と嘘をついてしまった。

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