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ももによる化かし合い

もし読者様が一人でもいましたのであれば、昨日投稿出来なかった事をお詫び申し上げます。

一応ストックはありますので、今後投稿が遅れる事は無いと思います。

 私はRKくんと酒場で睨み合っていた。理由は当然、ももが賢いから! 短期間で彼の状態を掴んでしまった私を、彼は必要以上に警戒している。

 彼は多分、私があれも知っているんじゃないか、これも知っているんじゃないかって疑心暗鬼に陥っている。

 でも、私が知ってるのはこの人の正体だけ。その手札を巧くちらつかせて色々な事を探ろうとしているけど、現状は何が分からないかすら分からない。

 普通の人には難しいかもだけど、ももちゃんには余裕なのだー!

 二人がログアウトした所を見て、私達は話を始めた。

「それで、お前は僕の正体をなんだと思う」

 ここで手札を切ったら話し合いは終わっちゃう。とにかく話を逸らさないと。

「その前にー、ももはあなたに敵意はないのー。条件次第だけどー、協力だって惜しまないしー。それにー……」

 そこで口を閉じた。言葉を濁したような雰囲気を出してるけど、正直に白状すると、次の言葉が浮かばなかった。

 流石に手札が少ないなー。次の言葉を早く出さないで、それが勘付かれても困るけど、話せる事が少なすぎる。私が全部知っている体で話すから、知らない情報も引き出せるのに。

 弱みを悟られたら終わり。そう思っていたらテーブルの中心にある花瓶に目が行った。

「それに、なんだ?」

 押し黙っていたら、ちょうど良いタイミングで自然に次の言葉を話せるチャンスが来た。

 逃さないよう、飛びつくように話を始めた。

「……ももみたいな知り過ぎた危険な芽を早々に摘まないってことはー、めったやたらに芽を摘む事がお花畑を汚くするって知っているんでしょー? そしてあなたはー……」

 確信に触れないように、濁しながら話す。

 そうして黙ると、RKくんが先に痺れを切らした。静寂が苦手なタイプなのかな?

「もういい……なるほどな。お前の頭が花畑なのはよく分かった。それも霞の花畑だ。だが、僕の花畑にはお前のような一輪が必要だ。どうだ。お前が咲き誇る場を与える。代わりお前はそのまま咲いていてくれ」

 まさか乗ってくれるとは思ってなかった。なんだかむず痒くなる。恥ずかしいポエムみたいだなー。

 それはそうと話を要約すると、前半はただの罵倒。後半は、他言しないで今のままでいたら、なにかをくれるって話だと思う。

「いいけどー、場ってなにー?」

「そうだな……武闘大会、なんでどうだ? 景品は相当な物を用意する」

 このゲームでは会場と商品を用意して、掲示板に参加者募集の紙を貼る事で誰でも大会を開ける。まあ、相当なプレイヤーでもない限りは身内での催しで終わるけど、ももも含めて、数人の人気プレイヤーが主催者なら結構なプレイヤーが集まる。そこで名を挙げられたら更に人気になって、それだけでちょっとした景品になる。

 ただ、なんで直接渡さないで、そんな不確定要素がある景品の渡し方をするのかが分からない。

「その景品、今くれないの?」

「僕の立場も考えろ」

 そうだった。彼が誰か一人を贔屓するのは基本的にタブー。そのタブーを隠す為に、大会の勝者への景品と言う建前を使うのね。

「分かったよー。でー、次はももの話を聞いてくれるー?」

「なんだ。あと四時間で起きないといけないんだ。早くしろ」

「単刀直入に言うとー……ももは友達が一番だからー、ちょっとでも変な気を起こしたらー、あなたを地の果てまで追いかけて仕返しするよー」と脅しながらキッと睨んだ。

 RKくんは少し悩んでから、

「……分かった。お前たちには手を出さないようにする」と言った。

 つまり、最初は手を出す気満々だったのかー。いや、予想内ではあるけど、これからはもっと注意してこの人と関わるべきだなぁ。

「それに……そっちの方が面白そうだ」と小声で話したのは、私の耳には入っていなかった。

「話しはそれだけだよー。じゃーねー、おやすみー……製作者さん」

 それが私の推理。彼の正体はこのゲームの制作者。だったら知識があっても経験がない事にも合点がいく。

 多分テストプレイを少ししただけで、それ以降は一切プレイした事がないんだろうし、あのデータはデバッグ用のデータとか考えればレベルの高さも頷ける。

 RKくんは無言でログアウトしてしまった。それを肯定として受け取った私も一緒にログアウトした。

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