表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

17/65

第17話 さま〇うよろいと金属バット

 俺はアイテムボックスから例のあれを呼び出し、着替えてから車を降りる。

 意味不明な事を口走っていきり立っていた男は、俺を見ると驚いたようだ。


「な、なんだよてめええぇぇっ!?」


 無理もないだろう。

 煽り運転して止めてやった車に近づいたら、中からさま〇うよろいが降りて来たのだ。

 あいつの金属バットも大概だと思うが、やはり白昼堂々フルアーマーのインパクトには勝てない。


「さあな、自分で考えろ。まあ考える頭があればな」

「あああああっ!? なめてんじゃねえぞこらああぁぁぁっ!」

「なめてねえよ、暇な奴だって呆れてんだよ。人様に迷惑かける事しかできねえのか、この能無しが。どうせちゃんと働きもしてないんだろ、お前。まともな社会人はこんな事しねえからな」

「うるせぇぇぇっ!」


 図星を突かれたのか、男は金属バットを振り上げて俺を威嚇してきた。

 弱い犬ほどよく吠えるというやつだ。


「こんな事してもお前の人生は変わらねえんだよ。馬鹿やってないでちゃんと働け」

「てめえに何が分かるっ!? これが見えねえのか、ぶん殴るぞ!」

「ふん。分かるんだよ――働かずに生きるのが許されるのは、それだけのカネと力を既に持ってる奴だけだって事がな――お前にはどっちもねえだろ、なら働けカスが」

「あああああああぁぁーーーっ!」


 ぶち切れた男が、金属バットを振りかざして襲ってくる。

 ガキン! と金属音がして金属バットは鎧の表面を叩いた。

 が、それだけ。こちらはノーダメージだ。


「おら! おら! おら! おらああぁぁぁっ!」


 ガキン! ガキン! ガキン! ガキン!


 男は力一杯俺を叩くが、銀騎士の鎧がそれを弾く。

 ひとしきり暴れた男は息を切らせてハァハァいっていた。


「はいはい、あーうるせえ。もう絡むのもめんどくせえから、貸せ!」


 俺はヤツから金属バットをむしり取った。

 そしてそれを持って力を込め、ぐにゃっと半分に折り曲げた。

 そしてそれを男の足元に放り投げる。


「ほらどうだ? ぶっ殺されたいか?」

「な、なんだとおぉぉぉぉ……」


 情けない声を出し、男は俺から後ずさりする。完全に顔面蒼白になっていた。


「消えろよ。今なら見逃してやる」

「ひ、ひえぇぇぇぇ~~~~!」


 悲鳴を上げて逃げ出す。

 だがしかし、余程混乱したのか追い越し車線側に飛び出して行く!


「あ――おいお前! 飛び出すな……!」


 男が飛び出した追い越し車線は、ちょうど赤い色をした車が通りかかる所だった。

 これは――あいつは轢かれる!


「ちっ!」


 俺は男と走ってくる車の間に素早く割り込む。

 流石に知らぬふりをするのは寝覚めが悪かった。

 それにこいつが轢かれて死んだりしたら、俺も取り調べになってしまうだろう。

 俺は赤い乗用車の勢いを両手で受け止めにかかった。

 ――ある意味、俺の力がこっちの世界でどの程度のものなのか測るいい機会だ。


「ほっ!」


 ドン! と結構な衝撃が俺の腕の中に残る。

 俺は多少後ずさりしつつも、赤の乗用車の突進を組み止めていた。

 正直なところ、思ったよりは軽かった。

 これならダンプカーとか電車くらいなら止められそうな気がする。

 もし全能力をフルに使えば、ジャンボジェットくらいは受け止められるか?


「あわわわ……! あわわわわわ――!」


 男は腰が抜けたのか、それを繰り返すばかりだった。

 突っ込んで来た赤の乗用車から、慌てた様子で人が降りて来た。

 その人物に、俺は見覚えがあった。

 生真面目そうで、それでいてとんでもない美人でスタイルもいい――

 あの婦警の大守さんだった。これは何という偶然だろうか――!?

 彼女は今日は私服だった。恐らく非番なのだろう。


「ま、またさま〇うよろい――!? あ、あの昨日の方ですよね!? 大丈夫ですか!? 昨日新宿で暴漢を取り押さえるのに協力頂いた、警察の者です!」


 これは、まずいな――!


 ピロン。とシステム音が


 あなたは100の経験値を取得しました。


 んん? 車を止めて経験値が入ったのか!?

 しかしここは100なんだな、少なく感じる。

 だがまあそれはいい。今は――


(アルマ、霧だ! 今すぐ頼む! 逃げるぞ!)


 俺は念話でアルマに呼び掛けた。


(ああ分かった!)


 俺達は霧が深くなった現場から、一目散に逃げだしていた。

面白い(面白そう)と感じて頂けたら、↓↓の『評価欄』から評価をしていただけると、とても嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ