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第15話 ハイエルフとカーシェアリング

 というわけで軽くトーストで食事を摂った俺達は、さっそく出かける事にした。

 アルマが車に乗りたがっていたので、車で郊外のアウトレットモールへ向かう。

 ブラック企業で社畜をやっていた俺にマイカーなどあるはずもなく、車は当然カーシェアリングだ。


 最寄りのステーションの車が空いていたので、アルマを連れてそこに向かった。

 ちなみに外に出るアルマは、昨日と同じ異世界から着て来たファンタジー風の服だ。

 その上に俺のパーカーを貸して着せているので、そこまで浮かないだろう。


「お~。これがクルマというやつだな」

「ああ。ほらここの窓の取っ手を引けば開くから、お前は向こう側な」

「うん? しかしあちら側には舵輪が付いていないぞ。あれで動かすんだろう?」

「運転する気か!?」

「ああ。面白そうだからな。やらせろ」

「ダメ! 絶対やめろよ、それやって見つかったら、俺もお前も警察に逮捕されるぞ!」

「警察とは何だ?」

「この世界の治安維持用の騎士団みたいなもんだ。犯罪を犯したら、そいつらが犯人を捕まえるようになってる。免許を持ってない奴が車を運転するのは犯罪だ。しかもお前は見た目が中学生くらいで未成年に見えるからな、滅茶苦茶目立ってすぐに捕まるぞ。そうなったら俺も助けてやれねえ。警察の邪魔をすればそれも犯罪になる」

「むう……しかしそんなもの、お前なら蹴散らせるだろう」

「出来るけどやる気はねえぞ。無駄に国家権力と揉めると、住み辛くなるだけだ。俺はのんびりまったり都会的スローライフがしたいだけだ。社会のルールを乱すつもりはない」

「ぬう……」

「とにかく俺が運転して連れてってやるから、お前は大人しく乗ってろ。いいな?」

「仕方がないな――ならば早く連れて行って貰おう」


 と、アルマは助手席側のドアを開いて、中に入ってシートに座る。

 俺も運転席に座り、シートベルトを締めた。


「アルマ、お前もシートベルトしろよ。しないとまた警察に怒られるからな」

「ふぅむ、細かい奴らだな」

「まあ向こうさんもそれが仕事だからな、ほら早くしろ。こうだぞ」

「うーむ? こうか?」

「ああ。それでいい、それじゃ一応カーナビをセットして……と」


 俺が目的地設定を済ませると、カーナビの音声案内が開始される。


『目的地への案内を開始します』


 アルマがそれにびっくりしてキョロキョロしていた。


「うわっ!? こいつ喋るのか? もしかして生きているのか――!?」

「ははは。違う違う、こいつは声付きで案内してくれる機械なんだ。声はあらかじめ撮っておいて、後で流せるようになってる。だから決まった事しか喋れねえんだ」

「何だかよく分からないが、本当にこちらの世界は進んでいるんだな。驚く事ばかりだ」

「まだ来て二日目だぜ、まだまだ見てない事はいっぱいある。さあ行くぞ」

「おぉ動いた動いた! ほぉ~!」


 目を輝かせて窓に張り付くアルマは、見た目以上に幼く見えた。


 俺達は新宿ICから首都高に乗り、アウトレットモールがある場所へと向かった。

 移動中の車内で、アルマは窓の外の景色に釘付けである。


「おおー! これは速いなあ! 馬の何倍も速いんじゃないか?」

「ああ、そうだろうな」

「しかも馬よりも全然静かで揺れないとはな――! 驚異的だぞ!」

「確かに馬は見た目以上に揺れるからなぁ」


 さて、そろそろ分岐を曲がるポイントだったかな。

 俺はカーナビを視線で確認する。うむ。次で曲がるんだな。


 ゴオォォォーーーーッ!


 いきなり風を切る轟音が車内に響いた。


「!? あ、こらアルマお前! 窓を全開にするなうるさいだろ」

「何だ? これもケイサツとかいう奴等に捕まるのか?」

「いや、そういう決まりはないと思うけどな」

「だったら堅い事を言うな。小姑かお前は」

「……ったく――」

「ここを押すと窓が開いたり閉まったりするんだな。良く出来たカラクリだ♪」


 ウィーン ウィーン ウィーン


 アルマは窓を開け閉めして遊んでいる。子供か。

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