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第13話 ハイエルフと青春の友

「新しい家に移るのか?」

「ああ。二人だとここは狭いからな。金はあるからいい場所に住もうぜ。せっかくだ」


 言いながら俺は、テレビのリモコンのスイッチを入れる。

 ちょうど夕方のニュースの時間で、美人の女子アナがニュースを読んでいた。


「おおおぉぉっ!? 中に人がいる! 小人か精霊か何かか!?」

「いやいやこれはテレビってやつでな。離れた所で起きてる事を映せるんだ」

「ほぉ~それは凄い魔法じゃないか」

「いや魔法じゃない。科学ってやつで出来てるんだ」

「かがく?」

「まぁ――カラクリ仕掛けの滅茶苦茶複雑な奴だ。魔法と違って、理論と法則さえ分かってりゃ誰にも使える」

「ほほう――それは凄いものじゃないか」

「こっちの世界は科学が基本だ。魔法はねえんだ」

「ふぅむ……魔法も使わずこんな高度な魔法のようなことが出来て、誰にでも使えるのなら――確かに魔法はいらないかも知れんな。魔法は個人の資質に左右されるからな」

「ああ。そういう事だ」


 応じながら俺はテレビのニュースの内容に注意を向けた。

 先程の駅前での事件が小さな扱いだがニュースになっていた。

 新宿の駅前で刃物男が暴れたが、駆け付けた警察官が取り押さえた――となっていた。

 俺の存在はどこにも出てこなかった。よしよし助かったな。

 大守さんがちゃんと伏せておいてくれたのだろうか。

 まあ存在に触れようにも、あんな怪しいさま〇うよろいをどう説明していいか分からないだろうが――


『なお同様の事件が渋谷、池袋でも発生しておりどちらも犯人は逮捕されましたが、警察はこれらの事件に関連性があるかを調べています。続いてはお天気です――』


 そんなアナウンスが流れてくる。

 別の所でも刃物男が――? 春とは言え、変なのが出てき過ぎだろう。

 おお怖い怖い――


「とりあえず今日はもう出歩かねえから、家でゆっくりしててくれ。明日お前の服を買いに行こう。さっき言ってた車にも乗せてやるよ」

「おお、あの鉄の箱だな。楽しみにしているとしよう」

「取り合えず風呂にでも入るか? 汗もかいただろ。一応浴槽もあるから入れて来てやるよ。お前はそのままテレビでも見てろよ」


 俺はそう言って、小さな風呂場に行って浴槽を洗ってお湯を張り始める。


「きゃああぁぁっ!?」


 そんな時だ、アルマの悲鳴が上がったのは。


「どうした!? 何かあったか?」


 俺が風呂場から顔を出すと、顔を真っ赤にしたアルマが俺の秘蔵のエロ本をテーブルの上に広げて悲鳴を上げていた。


「あああああっ! こらお前何を勝手に人のモン見てやがる――!」

「た、たまたま何気なく本棚から取ったらそれだったんだ。お前はなんて破廉恥なものを持っているんだ! とんでもない奴だな!」

「いやこっちじゃ健全な男は、このくらい持ってても当たり前なんだよ!」

「う、嘘をつけ……! お、お前ひょっとして私の事も、そんな卑猥な目で見てるんじゃないだろうな!?」

「いや間違ってもそれはねえな。俺ロリコンじゃねえし。ないない絶対ない」


 中身はともかく、アルマの見た目は中学生程度だ。流石に俺には子供過ぎる。


「そ、そんな全否定しなくたっていいだろう……!」

「うん……?」

「いや、それより早くどこかに隠せ! 私の目の付くところに置くな」

「あ、ああ――つってもどこに隠せば……隠し場所がないんだよな、狭いから」

「アイテムボックスにでも入れておけばいいだろう」

「おお! なるほどな」


 俺はアイテムボックスへ秘蔵のエロ本の収納を試みる。

 手に入れたのは高校生の時だったか。

 古いものだが、気に入っていてなかなか捨てられないのだ。

 言わば、共に青春時代を過ごした仲間である。


「アイテムボックス! こいつをしまっといてくれ」


 俺は本を持った手を伸ばす。その手の先がアイテムボックスの別空間へと繋がり、すうっと収納して消えた。

 こちらの物もアイテムボックスに入れて問題ない様子だ。

 という事はつまり、部屋の家具も全部収納できるわけだ。

 これは引っ越すときに身軽でいい。業者など不要だ。どこにも行ける。

 これはいい発見をしたな――これからの生活にも役立たせてもらおう。

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