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第4回  『神様、どうしたら良いですか』

珍しく短編?の投稿です。

 今日は珍しくここでしか読めない謎の短編です。(笑)

 何故ここでしか読めないか? ボツだから。(笑)  



      

          『神様、どうしたら良いですか』


 とある中学。

 2月14日。

 人気のない放課後の教室で、自分の机に肘を付きうつ伏しているAに、前の席に後ろ向きに座り、さっきからじっと見ていたB子が、思い詰めた様な表情で再び口を開いた。


「ねえ、だから何で虐められてるの?」


「うるせい。ブス」


 顔も上げず即答するA。


 Aは一番言われたくはない言葉を、もうかれこれ二ヶ月くらい、放課後になるとほぼ毎日、再三言われ続けていた。

 そして今日も、昼休みにクラスの男子達にAが連れられて教室を出て行くのをB子は静かに眺めていて、放課後の今があった。

 AはB子を「ブス」と言ったが、本当にはそうは思っていなかったし、実際彼女はバスケ部に所属するショートカットの体育会系女子で、その明るさからクラスでも男女共にそれなりに人気があった。

 つまりAとB子は、このクラスでは相当の地位の差があったのだ。

 だからかも知れない。

 AはB子にそれを尋ねられる度に悔しさと恥ずかしさを感じて、酷い口を利いていた。


「ふー」


 そのまんま一向に顔を上げる様子もなく、固まったままのAを、B子は机スレスレ覗く様にして見ながら、軽く息を吐くと、観念でもしたのか視線をAから外して教室の出入り口、廊下の方へと目を走らせた。

 そして廊下に誰もいないことを確認する。


「さてと」


 それからB子はそう言うと、突然椅子から腰を浮かせて立ち上がり始めた。

 Aの机の上で握っていた手も軽く広げて。


「もう誰もいないみたい。私ももう部活に行くね」


 彼女はこちらを一向に見上げようとしないAの後頭部に向かって一人そう話すと、椅子の脇に置いてあった鞄や手提げ袋を持って、そのまま出口に向かい歩き出した。


 彼女は自分がいる事で、Aが虐められないと知っていた。

 だからいつも放課後は皆がいなくなるまで彼の側で、彼が一番嫌がる話題を尋ねていたのだった。

 そしてこの日も、彼の机の上、彼女の握っていた手の置かれていた場所に、小さな一粒のチ〇ルチョコを残して。


 彼は分かっていた。

 自分が彼女と仲良くすると、彼女もきっと虐められるという事を。

 そして彼女が少なくとも自分に興味か好意は持っているという事を。

 だから彼は彼女の去った後の教室、自分の机の上でうつ伏せていた顔を上げると、そこにあったチ〇ルチョコを握り締めて思うのだ。


『神様、僕はどうしたら良いですか?』


 と。



          おわり

          

 


 

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