僕はすでに死んでいる。『そこから始まる恋のお話』
僕の名前は 「松田 タカト」当時26歳だった。
そう、もう僕は死んでいる。仕事帰りに車で運転中、信号無視をしてきた
トラックと衝突事故を起こし、僕は即死だった。
ただ僕は 『臓器バンク』 に登録していたため、僕の心臓は、
ある男性のところに行くことになる。彼の心臓と共に、僕は生き続けて
いるのだ。彼の体の一部として、いや? 最早、彼の体を僕が乗っ取った
のかもしれない。彼が僕の心臓を移植してから、僕の好きだった食べ物、
趣味の毎朝続けているランニング。
それに、性格も明るくなった。以前の彼...そう、彼の名前は 「勝さん」
今、46歳になる男性だ。
彼は仕事人間で、職場では物凄く不愛想で、周りの人間にも厳しい人だっ
たらしい。何時も、不機嫌で怒鳴り散らす人だったと聞くが、性格も一転し
て今では、何時もニコニコして優しい人に変わった。
僕の性格まで、彼に受け継ぐとは......?
◆◇◆◇
そして、彼は毎朝ランニングする公園で 『一人の女性と巡り合う。』
彼は、一目見た瞬間に、彼女に心惹かれてしまった。何故なら? 彼女は
「松田 タカト」の婚約者だった人だ。結婚式も、1週間前に控えていた
あの交通事故がなければ今頃......。
愛する人を失くした彼女と僕の心臓を移植した男の恋が始まる。
お互いがお互いの事を知らない。彼女もまさか!? この男性が
僕の心臓を移植した人だとは...? 思っても見ないだろう。
でも、彼女も何故か? 彼(勝さん)に心惹かれてしまうのだけど...?
彼女は、亡くなった 「タカト」 の事がずっと忘れられない。
お互いに引かれ合っているのに、『恋』に発展できない。2人が知り合
ってから、もうじき1年が経とうとしていた。
◇◆◇◆
...そんな時、彼女は勝さんから衝撃的な事を聞いた。
「実は、君に話していなかったけど...? 僕の心臓は、ある男性から
もらったモノなんだ! 心臓を移植してね。」
「えぇ!? 私の婚約者だった彼も、交通事故で亡くなって、彼は臓器
バンクに登録していたから...? その心臓はある男性に......。」
「詳しい情報を聞かされていないんだけど...? 僕に心臓をくれた人は、
当時26歳で、 交通事故で亡くなったとか?」
「本当なの? 彼もそうだったの......。」
...彼女はそう言うと、泣き出してしまった。ずっと我慢してきた想いが
溢れてしまったんだろう。彼女は彼の分も強く生きてきたのかもしれない。
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そして、調べてもらったら 【結果】 彼、勝さんの心臓は、彼、松田
タカトさんの心臓だとわかった。彼女が何故? 勝さんを見て好きになっ
たのかも、腑に落ちたらしい。
今では、二人と 【タカトの心臓】 と共に一緒に幸せに暮らしている。
子供も3歳の男の子と1歳半の女の子の4人家族で、とっても幸せにして
いる。彼の中で生き続ける僕、 『松田 タカト』 の亡くなったその後
のお話。
最後までお読みいただきありがとうございました。