楽に生きるだけ
テスト前なので初投稿です
「あ゛あ゛・・クッソあちぃ・・・」
ジリジリと太陽が暑い視線をむけてくる。ヘルメットと自分の前髪の間の汗がべたつき、いらだちが積もってくる。
(さっさと信号変わってくれよ・・・)
心の中でそうぼやきながら、腕時計を確認する。2間目からの講義時間に余裕はあるが、なんとなく確認を2度3度と繰り返す。もぞもぞとバイクのシートに座る体勢をととのえる。
信号が青に変わると同時にアクセルを捻り、発進する。いつもの通学路、見飽きた景色だが、信号が少ない幹線に入り、法定速度を超えない程度に走る。
(ああ・・・そういやぁ去年スピード違反で捕まってからあと1週間くらいで点数0にもどるなぁ・・)
とぼんやり考えながら、納車してから2年目になるミドルスクーターを運転する。同じように大学に通学途中と思われる原付を数台追い越し、ふとバイクのミラーで後方を確認する。
(ゲッ・・・クソデカトラック君来とるやんけ!)
無駄に威圧感のあるトラックが後ろからせまって来るのが見える。
(追い越すならさっさと右車線に移動してクレメンス・・・)
信号待ちで太陽にくらった熱を走行による風で吹き飛ばしいい気分になったところに水をさされた感じでため息がでそうになる。
「ん・・・?」
ゴォォォォオオ・・・っという風にまぎれてトラックの排気音が予想以上に近く大きく感じる。チラッとミラーをもう一度みる。
「う゛えっ!?」
(うせやろ!?ちょっと近い近い近い近い近いンゴオオォォォオオ!)
脳内で叫びながらアクセルをひねる。前に車両がいないこともあり思いっきりぶっ飛ばす。
(こいつマジか!ふざけやがって!殺す気かボケッ!原付じゃなく中型でど真ん中走ってるんだから気づいて無いわけじゃないよな・・・?)
距離を十分に離したと思われ、前方に先を走行していた車が近づいたところで、ミラーで再び後方を確認する、と同時だった。
ドンッ!!!
ギャリギャリギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギ ギギギギギギギィ!
という凄まじい音が聞こえ、トラックが壁にぶちあたり横転しかけているところがチラリとみえた。
(やべえええええええ!まじか?まじか?マジか?マジカ?うそでしょ?え・・え?え?え?)
ただでさえ少ない語彙力がなくなり、軽いパニックになる。巻き込まれなくてよかったと思った瞬間だった。
バキッ!
「う゛・・・っ」
体に衝撃。地面が視界いっぱいに移り、綺麗な青空、地面、青空・・・とくりかえし道路に投げ出される。何が起こっているのかわからくなり、思考が停止する。
「っつ゛・・・う゛う゛・・・い゛っ・・・」
(アァ・・・イタイイタイ痛いいたいいたい・・・)
右のわき腹をおさえ地面にのたうちまわる。
(あついあついあつい・・・アツイアツイ)
痛いのかそれとも熱いのか・・・。それもわからない痛さにのたうちまわる。
「あ゛あ゛っ・・・・」
(どうなってる!?どうなってる・・・なにが・・・・なにが・・・)
(いたい・・・痛い・・・イタイ・・・)
痛みにのたうつ中、かすかに残った気力と思考で死に物狂いで足に力をいれ幹線の端っこの方に移動しようとする。
実を言うとバイクの事故で転倒したのは、初めてではない。
現在所持し運転していたのはSUZ〇KIが発売しているミドルスクーターだが、免許を取得後乗っていたバイクはHOND〇のネイキッド型のもので叔父から譲ってもらったのだが友人と共に山道をツーリング中豪雨に見舞われ、転倒し、大破させたのだ。その際にも同じようにわき腹を打ったことがある。一応病院でみてもらったのだが、臓器に異常もなく大きな痣ができるだけで済んだ。
その際と状況は違うが、初めてではないので、経験からとりあえず安全の為に、状況確認や怪我の確認よりも前に、文字通り必死で全身に気合をこめ移動する。・・・・はずだった。
目の前に暗い影が差す・・・
背後からガリガリと嫌な音がする
「・・・・ぉ゛?」
痛みに震える体を持ち上げ背後を振り向く
壁だった。
壁のように迫ってくるトラックの荷台だった。
壁の向こうにはダンプカーが横転するのが見えた。
「ぁ」
ダンプの前を走るあの事故を起こした無能トラック運転手によってトラックが横転し、後続していたダンプも急停止によって横転しそのまま滑ってきたのかと認識した瞬間、味わったことも味わいたくもない痛みと衝撃に襲われる。
「ぶっ・・・あ゛あ゛あ゛・・・が・・・」
ぐしゃっ・・・
ごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごりごり・・・・・・・・・・
グチュグチュ・・・・ぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅぐちゅ・・・・・
全身が摩り下ろされた。
地面とダンプによって押される荷台に摩り下ろされた。
命の擦り切れる感覚がした。
言葉では言い表せぬ痛みだった。
死にたくない、助けて、そんな思いなども抱かせないほどの痛み。
そんな思いを轢き殺す痛み。
そして長い、長く、長く、永く、永い擦り切れる感覚。
残ったのは紅い、黒くにごった液体、撒き散らされた臓器、ひき潰された肉塊。
「ようこそ異世界の方々、我がリューテンシア王国に!」
「・・・・・・ハ?・・・・・・」
何故か傷ひとつないバイクに跨った俺は、通学路の幹線の上でそんな声を聞いた。
作者はバイクで実際転倒したときは雨の日で急ブレーキからのロックコンボです。
死ぬかと思いましたが、走馬灯とか一切みませんでした。
わき腹をおさえてうめくのが精一杯でした。
後続車いなくてほんと良かった良かったニチニチニチ
次回予告(大嘘)「聖剣は伝説、勇者は希望」
エタるのは基本、お兄さん許して、許して。。
プロローグで物語終わるってマジ?