♥ 依頼場所 2 - 5 / 廃神社 4 / 退魔師という仕事 7
弓弦は衛美から聞いた声が、どんな声だったのかを玄武に話した。
玄武
「 …………そうか。
頭の中に響いていたのか… 」
厳蒔弓弦
「 玄武、心当たりでもあるのか? 」
玄武
「 十中八九これの所為だな 」
玄武は古井戸の中から回収した呪具を弓弦に見せる。
厳蒔弓弦
「 ──これが呪具か?
まるでガチャガチャの入れ物だな 」
玄武
「 入れ物は何でもいいらしい。
肝心なのは中に入っている呪具だからな。
呪具を作る為に使われた材料に原因がある 」
厳蒔弓弦
「 何が使われているというんだ? 」
玄武
「 信じたくはないが……、榻萠之眞小呂の遺体の一部だ。
どうやら眞小呂の遺体を掘り起こしたのは、悪徳陰陽術師らしい 」
厳蒔弓弦
「 榻萠之眞小呂──、衛美の前世の身体か?!
然し、千年以上も前なのだろう?
遺体は骨と共に土へ還ったのではないのか? 」
玄武
「 いや、土葬はしてない。
眞小呂の遺体が朽ち果てぬようにと術式を施したからな。
式神黄龍へ霊魂を移した眞小呂を地上に留める為には、どうしても眞小呂の遺体が必要だったからだ。
何者かに遺体を掘り起こされ、眞小呂の遺体は行方知れずとなり、式神黄龍から眞小呂の霊魂は切り離されてしまった。
眞小呂の霊魂は輪廻の流れへ還り、何度か転生を繰り返した。
今回で4度目の転生になる 」
厳蒔弓弦
「 4度目…か 」
玄武
「 まさか、回収した呪具に千年以上も行方知れずだった眞小呂の遺体の一部が使われているとはな…。
呪具は他にもある。
呪具の全てに眞小呂の遺体の一部が使われているかも知れない。
腹立たしい限りだ 」
厳蒔弓弦
「 …………玄武、衛美にしか聞こえない声は、眞小呂の一部と共鳴したからなのか? 」
玄武
「 あるかも知れないな。
眞小呂の遺体を悪徳陰陽術師達の好きにはさせられない。
ワタシは呪具を回収し、眞小呂の遺体を集める 」
厳蒔弓弦
「 …………微力だろうが私も手伝おう。
婚約者の前世の遺体を弄ぶような輩は許せないからな 」
玄武
「 楽ではないぞ。
奴等は並みの陰陽師ですら歯の立たない強敵だ。
衛美は守護れても、弓弦までは守護れない 」
厳蒔弓弦
「 それは承知している。
それでも私は協力したい。
玄武が構わなければ──だが 」
玄武
「 ワタシは一向に構わないぞ。
弓弦は戦力になるからな 」
厳蒔弓弦
「 そうか。
足手まといにならぬよう精進する 」
玄武
「 足手まといか。
なるまいよ、お前ならな。
( 何の因果かな……、晴明── )」
厳蒔弓弦
「 玄武、どうした? 」
玄武
「 いや。
依頼場所へ戻るとしよう。
“ 呪われた家 ” が待っているからな 」
玄武は衛美を抱き抱えたまま、弓弦と共に廃神社を後にした。
廃神社から去った玄武と弓弦は、依頼場所でもある “ 呪われた家 ” へ向かって歩き出した。




