♥ 登校中 1 / ナンパ…か?
境戸託司
「 瀬圉さ〜ん!
おはよ〜!! 」
大学の最寄り駅を出て信号待ちをしていると、背後から元気で明るい声が聞こえて来た。
衛美
「 ………………またかよ 」
うんざり気味の衛美は、思わず本音を漏らしてしまう。
境戸託司
「 ハァ…ハァ…ハァ…………おはよう!
瀬圉さん。
会えるなんて奇遇だね!! 」
衛美
「( ……朝から…うざい… )」
朝からテンション高めの境戸託司は、息を切らせながら駆け寄って来た。
まるで尻尾をブンブン振って突進して来る人懐っこい大型犬のようだ。
犬ならば、衛美も喜んだ事だろう。
衛美
「 …………何で息を切らせてるの?
走って来なくてもいいのに… 」
境戸託司
「 瀬圉さんの姿が見えたから、ついね!
一緒に登校したくて(////)」
衛美
「 ああ……そう、なの? 」
屈託のない眩しい笑顔を衛美に向けて微笑む境戸託司の表情に衛美は、うんざりしていた。
衛美
「 ……境戸君…だっけ?
貴方と登校したいと思ってる女子学生が居るんじゃない?
その子達と登校してあげたら?
好きなだけ、ちやほやしてもらえるわよ? 」
追い返したい衛美は、ここぞと思い嫌味を言ってみる。
境戸託司
「 …………瀬圉さんは…俺が嫌いなの? 」
衛美
「 は? 」
境戸託司
「 俺と仲良くしたくない──って事… 」
衛美
「 自覚はあるんだ?
偉いね。
信号が変わったから先に行くけど、付いて来ないでね 」
境戸託司をその場に残して衛美は1人でさっさと行ってしまった。