♥ モレットモール 2 / 2:1デート 2 / 売店
──*──*──*── 売店
弓弦さんと分かれた私は、玄武と一緒に売店の前に移動した。
メニューのパネルを見ている玄武は楽しそう。
パネルには提供されているフードの写真と名前とサイズと値段が掲示されている。
玄武
「 衛美、ポップコーンの味は7種類もあるみたいだ。
7種類食べたい。
3種類あるチョロスと3種類のチュリトスやらも美味そうだ。
オリジナルサンド,ホットドッグ,ちょびっとチキン,フリじゃがポテトも美味そうだな。
フランクフルトも捨てがたい。
衛美、全部食べたい! 」
衛美
「 言うと思ったわ…。
全部は駄目だからね!
映画が終わったら弓弦さんのお弁当も食べるのよ。
私が払うんだから、1つだけにして 」
玄武
「 衛美はケチだな。
太っ腹な弓弦を見習うべきだ。
釣り合わないぞ 」
衛美
「 ただの女子大生に財力を求めないでよ…。
フリじゃがポテトにしたら?
安いし、音も出ないし 」
玄武
「 嫌だ。
フリじゃがポテトも食べたいが、物足りない 」
衛美
「 何が 『 物足りない 』よ!
食べなくても平気なくせに! 」
玄武
「 美味い物を “ 味わいたい ” と思うのは自然の摂理だ 」
衛美
「 食べるのは弓弦さんの手料理だけにしときなさいよ…。
私を破産させないで… 」
玄武
「 衛美、働け 」
衛美
「 何でアンタに食べさせる為に私が働かないといけないのよ!
それに、 “ バイトをしない ” って条件でお小遣いを貰ってるのよ。
“ バイトしたい ” 何て言ってみなさいよ。
お父さんとお母さんの雷が落ちるわ 」
玄武
「 然しな、現役女子大生の月々の小遣いが5万は少なくないか? 」
衛美
「 大学の交通費は親持ちだし、食堂や購買で食べるようにも余分に1万円貰ってるし…。
贅沢言えないってば。
私はあまり買い物とかしないし、偶に気になる映画を観に行くのに使うぐらいで……。
貯金は出来てると思うけど、玄武の食欲を満たす為には下ろして使いたくないわ… 」
玄武
「 直ぐに増やしてやる。
ワタシの為に使えば損はさせない。
昨日の250万はワタシの稼ぎだぞ 」
衛美
「 …………分かったわよ…。
2つにするわ… 」
玄武
「 ケチだな衛美 」
衛美
「 黙らっしゃい! 」
?
「 ──待たせな。
チケットを買って来た。
衛美も玄武も、どうした? 」
衛美
「 弓弦さん!
玄武が── 」
玄武
「 衛美がケチで揉めていた 」
厳蒔弓弦
「 揉めていたのか? 」
玄武
「 メニューにあるフードを食べたいのに、衛美が買ってくれない 」
厳蒔弓弦
「 食べたいのか?
衛美さえ良ければ私が買うぞ 」
玄武
「 弓弦は話の分かる男だな。
持つべき者は経済力のある男だ!
弓弦は頼りになる 」
衛美
「 弓弦さん…。
玄武を甘やかさないでください…。
フード全部なんて駄目です!
{ 玄武は式神なんですよ。
食べなくても平気なんですから }」
厳蒔弓弦
「 衛美、玄武は食べ残したりしないだろう。
衛美の婚約者となった以上、玄武とも長い付き合いになるんだ。
衛美を守護る玄武を無下にはしたくない 」
衛美
「 弓弦さん…… 」
玄武
「 衛美、此処は弓弦からの “ 善意の厚意 ” に素直に受けるべきだ。
断るのは良くない。
“ 善意の厚意 ” を無下にすると罸が当たるぞ 」
衛美
「 ──もうっ!
分かったわよ!
玄武の食欲に関しては弓弦さんに委ねます!
好きにしてください! 」
玄武
「 良い判断だ。
今回は高く評価しよう 」
衛美
「 …………何様のつもりよ… 」
厳蒔弓弦
「 良かったな、玄武。
飲み物はいるか? 」
玄武
「 必要ないな。
フードだけでいい 」
厳蒔弓弦
「 衛美は何か飲むか? 」
衛美
「 …………私は自分で買います…。
弓弦さんに出してもらってばかりは悪いですし… 」
厳蒔弓弦
「 衛美は私の婚約者だ。
遠慮しなくていい。
飲みたいのを教えてほしい 」
衛美
「 …………有り難う御座います(////)
じゃあ、私はホットカルピスが飲みたいです(////)」
厳蒔弓弦
「 分かった。
注文するから待っていてくれ 」
衛美
「 飲み物は私が持ちます。
玄武の分は全部Sサイズにしてください。
玄武は自分で持ってよ! 」
玄武
「 弓弦、アイスクレープとコティパのカップアイスも忘れるな 」
衛美
「 玄武!
クレープとアイスは駄目よ!
溶けちゃうでしょ。
これ以上、欲張らないで! 」
玄武
「 買うのは弓弦だぞ。
衛美は口を挟むな 」
──もうっ、玄武ったら、財力があるからって弓弦さんに集るなんてぇ。
優しいのか、心が広いのか……、玄武がねだったフードを買ってくれた弓弦さんは、フードの袋まで持ってくれる。
我が儘を言いまくる玄武に持たせればいいのに!
私は弓弦さんが買ってくれた2人分の飲み物を持って歩く。
スタッフさんにチケットを渡してくれたのは、手ぶらの玄武。
弓弦さん,玄武と一緒に【 陰陽大戦譚 】の1作目が放映されるシアタールームへ向かって歩く。
≪ 營譱家 ≫の陰陽師達が完全監修した退治される側の鬼達にスポットライトを当てた【 陰陽大戦譚 】が、どんな内容の陰陽師モノなのか楽しみ♪