表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
♥ これは式神  作者: 雪*苺
七日目 / 日曜日 4月28日
40/104

♥ 瀬圉家 11 / 本家 11 / 本邸 2 / 応接間 2


衛美

「 ≪ 祿ろくどう ≫に引き取られちゃったらまずいんじゃないの? 」


鴇胤

「 ≪ ≫で葬儀をして遺体を火葬するわけにはいかん。

  例えどんな事情があったとしてもだ。

  事情は説明するが、信じてもらえるかは分からん 」


衛美

「 そんな……。

  じゃあ、めいしょうさんの遺体はしょうれいの手に渡って、式神にされて傀儡化されちゃうって事なの? 」


玄武

「 そうなる。

  めいしょうだけではあるまいよ。

  しょうれいの血を引く子孫は憑依陣の被害に遭うのは間違いない。

  第2,第3のめいしょうが増えるのは見物でもある 」


衛美

げん、ちょっと不謹慎じゃないの? 」


玄武

しょうれいの手に渡る前に、さっさと火葬してしまえばいのに、しないのが悪い。

  ワタシは危険性を話したぞ。

  ワタシの忠告をかすもころすもときつぐ次第という事だ。

  緊急召集でも掛けてはどうだ?

  被害者が増えるぞ。

  ≪ ≫中に≪ 祿ろくどう ≫の血を引いている者はないのか?

  いれば大変な事態になり兼ねないぞ。

  結界陣の中で隔離でもしていた方がいいな。

  退魔師の中にも≪ 祿ろくどう ≫の血を引く者がないか調べた方がいい。

  るならしょうれいの憑依陣の餌食とならぬように結界陣の中で隔離するといい 」


衛美

なんか大変な事になっちゃったわね… 」


玄武

「 これからなる 」


衛美

「 でも…結界陣の中に入ってもらって隔離するのは大変なじゃないの?

  それに誰が憑依陣を跳ね返せるような強力な結界陣を張るって言うの? 」


鴇胤

「 おぉ、それもそうじゃな。

  陰陽師の御三家と退魔師の御三家以外にも陰陽師,退魔師は多い。

  どうしたものか…… 」


衛美

「 …………げん…どうするの? 」


玄武

「 ワタシに聞くな。

  ワタシに出来る事は限られている。

  万能な式神など何処にもない 」


衛美

「 そんな…… 」


厳蒔弓弦

げんなんとか出来ないのか?

  しょうれいの血を引いた子孫を調べるのは大変な作業になる。

  少しでも作業を楽にする方法はないか? 」


玄武

「 ワタシに意見を求めるな 」


衛美

げん… 」


 私はげんの袖を引っ張って、上目遣いに見詰めてみた。


 少しだけ両目に涙を溜めてね!


 げんは見下ろす形で私の顔をジッ──と見詰めている。


 相手は式神だし、泣き落としはつうじないか。


玄武

「 …………はぁ…。

  ワタシはえいに弱いな。

  なんとかしてみよう 」


衛美

げん

  がとう!! 」


玄武

「 条件がある 」


衛美

「 条件?

  なんなの条件って?

  なんでも言って!

  お祖父様の財力と権力で出来るような事なら! 」


鴇胤

「 これ、えい

  あまり無理を言うんじゃない 」


玄武

「 まともな手料理が食べたい。

  カップ麺やレトルトではない手間を掛けて丁寧に作られた真心のこもったい手料理だ 」


衛美

げん、このに及んでだそんな事── 」


玄武

「 『 なんでも 』と言ったのはえいだぞ。

  ワタシはカップ麺もレトルトも食べたくない。

  手料理が食べたい 」


衛美

「 今のレトルトは昔と違って格段としくなってるじゃないの!

  お湯で温めるのとレンジでチンするレトルトのなにが不満だって言うの?

  第一、食べるのはげんじゃなくて私なの!

  食事ぐらい私に合わせなさいよ 」


玄武

いやだな。

  毎日、レトルト食品ばかりだと飽きる。

  ワタシは飽きた 」


衛美

「 種類は沢山あるんだから飽きないでしょうがっ!! 」


鴇胤

「 ………………。

  これこれ、落ち着きなさい、えい

  これを気に料理を習ってみてはどうだ?

  毎日、レトルト食品ては流石に不憫ではないか? 」


衛美

「 お祖父様は黙って!

  私は自分で作った料理を自分で食べるのはいやなの!

  げんが私に手間暇掛けて作った料理を食べさせてくれたら問題ないでしょ 」


玄武

「 式神に料理をさせるとは──、とんだあるじだな 」


鴇胤

「 …………兎に角だ、い手料理であればいのだな?

  今夜は此方こちらで用意させてもらうとしてだ── 」


厳蒔弓弦

「 私で構わないなら作ります。

  1人暮らしが長いので料理は得意です。

  げんの口に合う料理を作れるか分かりませんが、私はえいの婚約者ですし 」


鴇胤

「 おおっ、そうか、づる君。

  えいの代わりに作ってくれるか! 」


衛美

づるさん、料理が得意なの?

  づるさんの手料理、私も食べてみたいです! 」


玄武

「 …………店でもないのに男の手料理を食べるのか?

  いのだろうな? 」


衛美

なんで上から目線でえらそうなのよ。

  しかいやそうに! 」


厳蒔弓弦

「 今晩の夕飯は私が作ろう。

  げんの口に合うか御世辞抜きで確かめてくれたらいい 」


玄武

「 ほぅ……言ったな?

  厳しく採点してやるから覚悟しておけ 」


衛美

げん、態度が大きいわよ… 」


 げんってば涼しい顔で高級茶と和菓子のお代わりを要求している。


衛美

げん、少しは遠慮しなさいよ…… 」


玄武

「 ──に判子を用意した。

  ワタシが用意した特別な判子だ。

  ひたいに押すといんが付く。

  しょうれいの血を引く者なら赤いいんが付き、無関係ならば緑のいんが付く。

  これで少しは区別もし易くなるだろう。

  その場で赤いいんの者だけを捕らえ、搬送先で隔離すればいい 」


衛美

「 “ 捕らえる ” って犯罪者じゃないんだから!

  “ 手厚く保護する ” でいいんじゃないの? 」


玄武

「 言い方はなんでも構わない。

  先ずは敷地内にる全ての者の額に判子を押す事だな。

  試しに判子を押してみろ 」


鴇胤

「 おおっ、そうだな。

  よし、折角だ、試してみよう 」


 げんが用意した判子を持ったお祖父様は、伯父さんとお父さんのひたいに判子を押した。


 伯父さんとお父さんのひたいに付いたいんの色は青みがかった緑色。


 伯父さんとお父さんはセーフみたい。


 伯父さんがお祖父様のひたいに判子を押すと、青みがかった緑色のいんが付いたから、お祖父様はもセーフね。


 次はづるさんの番。


 なんかドキドキしちゃう!

◎ 変更しました。

  転移陣 ─→ 憑依陣

  種類は一杯 ─→ 種類は沢山

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ