♥ 登校中 1 / ナンパ…?
男子学生
「 ──あっ、おはよう! 」
校門を通り抜け、1人で歩いている衛美の姿を見付けた男子学生は、にこやかに手を振りながら、衛美へ駆け寄る。
衛美
「( うげげっ……昨日のイケメン!?
何で朝っぱらから──。
………………よし、このまま無視しよう!
私は知らない。
何も見てない。
何も聞こえないっ!! )」
衛美は男子学生を無視したまま歩き続ける。
男子学生
「 ……あれ?
聞こえないのかな??
よし、もう1度!
──おはよう、瀬圉さん!! 」
ひたすら無視を決め込んで歩き続ける衛美に対し、苗字を呼んで元気に挨拶をする。
男子学生
「 ──瀬圉さん!
瀬圉さんったら!
…………あの…瀬圉さん…で合ってるよね?? 」
苗字を呼ばれても一向に振り向いて返事をしてくれない事に不安を感じた男子学生は、衛美へ疑問系で尋ねる。
衛美
「( ………………はぁ……煩い…… )
…………合ってるけど?
何か用なの? 」
男子学生
「 ──!!
合ってた!
良かった〜〜〜!
名前が合ってて安心したよ(////)
全然返事をしてくれないから、違う名前を呼んでるのかと思って……ヒヤヒヤしたよ(////)」
衛美
「 朝っぱらから何なの?
私は貴方に用事は無いけど? 」
男子学生
「 瀬圉さんには無くても、俺にはあるから(////)」
衛美
「 はあ? 」
男子学生
「『 校舎まで一緒に歩きたいんだ 』って言ったら……怒る? 」
衛美
「 はあ?
…………別に怒らないけど?
今、歩いてるし…… 」
男子学生
「 あはっ──だよね(////)
あ、あのさ…昼食だけどさ…良かったら一緒に── 」
衛美
「 丁重に御断りするけど 」
男子学生
「 ………………え??
でも、昨日は── 」
衛美
「 昨日のは……ちょっとした事故よ。
もう彼処には座らないから安心して 」
男子学生
「 え…いや……安心って………………。
俺は瀬圉さんと昼食したいんだけど…… 」
衛美
「 私は1人で昼食したいの 」
男子学生
「 ……………………寂しくないの? 」
衛美
「 全然。
──どうして?
好きで1人で昼食したい人も居るんだけど? 」
男子学生
「 ……それは…そうだけど…… 」
衛美
「 何なの?
1人で昼食してる人は『 皆寂しがってる 』とか『 本当は誰かと一緒に昼食したいと思ってる 』とか本気で思ってるの? 」
男子学生
「 そんな事…ないよ!
瀬圉さんが1人で昼食したい気持ちなら、俺にも分かるし!
俺もたまにだけど……、1人で食べたい時もあるし…… 」
衛美
「 そう…… 」
男子学生
「 昼食が無理なら……あっ、講義が終わったらカフェに寄って帰── 」
衛美
「 寄らない。
貴方とも帰らない。
じゃあね 」
男子学生
「 あ……あのさ!
俺の名前、境戸託司──だから!
託司って呼んでほしいな!
瀬圉さん、またね!! 」
表情を変える事なくスタスタと前へ向かって歩く衛美は、大声で自己紹介をしてくれた境戸託司に返事をしなかった。