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♥ これは式神  作者: 雪*苺
七日目 / 日曜日 4月28日
39/104

♥ 瀬圉家 10 / 本家 10 / 本邸 1 / 応接間 1


──*──*──*── 本邸


──*──*──*── 応接間


 お祖父様に電話で呼ばれた私は、実体化したげんと一緒に本邸の応接間にる。


 私とげんはソファーに座っている。


 私の右横に座っているのはげんで、げんの右側に座っているのはづるさん。


 どうしてづるさんが、私とげんと同じソファーに座っているのかは分からない。


 当事者は私なのに、げんが真ん中に座っているのも分からない。


 別に真ん中に座りたいわけじゃないけど…。


 私のお向かいにあるソファーには、お祖父様,伯父さん,お父さんが座っている。


 づるさんの前には伯父さん,私の前にはお父さん,げんの前にはお祖父様が座っている。


 お祖父様は険しい顔をしてげんを見詰めているみたい。


 見詰めている──っていうよりも睨んでるのかも知れない。


 げんを見ているお祖父様のじから……ガチで怖いかも…。


 げんが実体化してる所為で、思念で会話が出来ないから不便。


 げんは式神なんだから、実体化してても式神なわけだし、思念で会話が出来てもおかしくないと思うんだけど……。


 お祖父様,伯父さん,お父さん,づるさんが揃ってる前で、げんと内緒話なんて出来ないわ…。


 どうしよう…。


 げん……お祖父様達に変な事を言わなければいいけど……。


 当のげんはというと、高級な湯呑みに注がれた高級煎茶を飲んでいる。


 飲み方が無駄に上品なのは平安仕込みなのかしらね?


 一緒に出されている和菓子を食べるげんの姿も絵になるわぁ……。


 まぁ、げんは美丈夫で美麗人だものねぇ。


 そりゃ絵にもなるわ…。


 平安時代には絶対にいない美成年だもん。


 げんの右隣に座って、和茶を飲んでるづるさんも美成年だけど、げんを見慣れちゃってる私は、づるさんを見ても胸がときめいたりはしない。


 づるさんも随分と絵になるよねぇ。


 いけない内容の本が出来上がっちゃうぐらいには、げんづるのツーショットは絵になる。


玄武

「 ──それで、ときつぐはワタシになにを聞きたい?

  祿ろくどうめいしょうの事か?

  祿ろくどうしょうれいの事か?

  ワタシの事か? 」


鴇胤

「 ──うむ、全てだ。

  げん…と言ったな。

  貴殿はとわ──えいに取り憑いていたれいか?

  モノノケか? 」


玄武

「 ワタシはれいたぐいでもなければ、モノノケのたぐいでもない。

  ワタシはしじに生み出された式神だ。

  は間違いなく平安時代最強の陰陽師だったが無名でな、知る者は誰もないだろう。

  どちらかと言えば、祿ろくどうしょうれいの方が陰陽師としては名が知られているだろう 」


衛美

げん、有名な陰陽師はべのせいめいじゃないの? 」


玄武

べのせいめいの名が知られているのは一般人の中だけだ。

  陰陽師業界では祿ろくどうしょうれいの方が名は知れている。

  べのせいめいは確かに天才だったが、ワタシののように自身でさま(ざま)な術式を作る事は出来なかったからな。

  それに関してはしょうれいも同じだ。

  自身でさま(ざま)な術式を生み出したワタシのの方が陰陽師としては凄い 」


衛美

「 そうなのね…。

  の作った術式をしょうれいが盗んで有名になったって事? 」


玄武

「 そうだ。

  からは、『 しょうれいとは兄弟のように育った唯一無二の親友だ 』と聞いていた。

  その兄弟のように育った唯一無二の親友に騙され、裏切られ、術式を盗まれ、が手に入れる筈だった地位も名誉も奪われ、しょうれいに捨てられたわけだがな。

  鹿の付く程のお人好しで無欲だったは、欲深いしょうれいにとって都合がかったのだろうな 」


衛美

「 私を横目で見ながら言わないでよ!

  私はじゃないんだからね 」


玄武

が作った術式を自分が作った術式として陰陽師業界で公表したしょうれいは、祿ろくどうに迎えられ、以後は “ 祿ろくどうしょうれい ” と名を改め、陰陽師業界の新星として死ぬまで君臨する事になる 」


衛美

「 そっか、だから≪ 祿ろくどう ≫のめいしょうさんはしょうれいの子孫になるのね 」


玄武

祿ろくどうめいしょうしょうれいに憑依陣を使われてしまった。

  その所為でめいしょうれいのうりょくは憑依陣に根刮ぎ吸い尽くされてしまった。

  めいしょうれいのうりょくが戻る事は2度とない。

  憑依陣を使われた事でめいしょうは遅かれ早かれしょうれいの傀儡と化してしまう。

  息を引き取ったならばそう(そう)に火葬してしまう事だ。

  骨にしてしまえば傀儡に出来ないからな 」


衛美

げん、死んでしまっても身体からだがあれば傀儡にされるの? 」


玄武

「 肉体があれば、死者を式神にする事も可能だ。

  死者を式神にする術式を生み出したのもワタシのだ。

  凄いだろう! 」


衛美

「 まるで息子自慢ね…。

  めいしょうさんがしょうれいの式神にされたらまずいの? 」


玄武

「 そうだな…。

  並の陰陽師や退魔師では歯も立たないだろうな。

  あの犬ころもワタシには大した事はないが、強い式神には変わりないしな 」


衛美

「 “ 犬ころ ” じゃなくて、フェンリルね。

  ──お祖父様、めいしょうさんってそんなに強い陰陽師なんですか? 」


鴇胤

「 ──うむ。

  御三家の中でもトップに入る強さを誇っていた。

  惜しい人を亡くしてしまった… 」


衛美

「 亡くしてしまった──って事は死んじゃったの?? 」


鴇胤

「 あぁ……酷い衰弱ぶりでな、運ばれてから30分後には息を引き取ったそうだ 」


衛美

「 そうなんだ…。

  あっ…じゃあ、めいしょうさんの遺体はどうなるの? 」

◎ 変更しました。

  転移陣 ─→ 憑依陣

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