♥ 大学 3 / 昼休み 3 / テラスで密談
宮島梓眞
「 ………………──で、どうなわけよ? 」
境戸託司
「 何が? 」
宮島梓眞
「{ 瀬圉衛美に決まってるだろ!
どんな感じだよ? }」
境戸託司
「{ 大して話てもないのに分かるわけないだろ… }」
宮島梓眞
「{ なぁ、マジで “ 友達 ” になるつもりか?
俺は止めといた方がいいと思うけどな… }」
境戸託司
「{ ………………それでも、やるよ。
相手を知る為には、相手の懐に入らないと──だろ? }」
宮島梓眞
「{ “ 相手が悪い ” って言ってんだよ! }」
境戸託司
「大丈夫だよ。
{ 『 俺からは触らない 』って言ってあるし、少しは警戒心も薄れたと思う }」
宮島梓眞
「 どうだかな? 」
境戸託司
「{ 対人恐怖症とか人間不信って感じでもないかな?
ちょっと人見知り感が強いってだけで、普通に話も出来るし。
学食員とも楽しそうに話してたし…。
笑うと可愛いし(////) }」
宮島梓眞
「{ おい、間違っても惚れるなよ?
瀬圉衛美は危険人物なんだからな!! }」
境戸託司
「 ちゃんと解ってるよ。
{ ………………満仁谷さんに報告書、提出しないとな… }」
宮島梓眞
「 毎日とか面倒だよな…。
LINEで送ればいいだろ 」
境戸託司
「 いい加減だな… 」
宮島梓眞
「{ 叭瀬尾は失敗したけど、お前は失敗するなよ。
病院のベッドにくくりつけられた託司の姿なんて、俺は見たくないぞ… }」
境戸託司
「 宮島……。
分かってる。
{ 叭瀬尾の分も頑張るよ。
彼奴の無念も晴らしてやりたいしな }」
宮島梓眞
「{ ──たく、何をして、あんな惨たらしい目に遭わされたんだか…。
俺には想像も付かないね… }」
境戸託司
「 ………………そう、だな。
{ 本当に “ アレ ” を瀬圉さんが起こした事なのかな…。
あんな華奢で小柄で腕力も無さそうな ひ弱で、か弱そうな女の子に…… }」
宮島梓眞
「 見た目に騙されるなよ?
{ 叭瀬尾も、見た目に油断して墓穴を掘った口だろう?
人知では計り知れないヤバい力を秘めてる奴ってのは、案外に非力だったり、か弱そうな奴だったりするんだよな。
然もだ、当の本人には全く自覚がないと来たもんだ。
まぁ、中には自覚はしてるのに、敢えて自覚をしてないフリして、悪用する奴もいるけどな }」
境戸託司
「{ 瀬圉さんも悪用してるように見えるか? }」
宮島梓眞
「 どうだかな?
{ 人を──というより異性か。
関わるのを必要以上に避けるように心掛けてるみたいだしな…。
少なからず自覚はしてるのかもな… }」
境戸託司
「{ 満仁谷さんから渡された資料を読んだけど、加害者は殆どは異性だったけど、小学2年生の時の加害者は同性だったね。
3人とも可哀想だけど…… }」
宮島梓眞
「{ 其処は加害者じゃなくて被害者だろ? }」
境戸託司
「 でもさ、先に手を出したのは事実だろ。
{ 瀬圉さんに何もしなければ、被害に遭わなくて済んだわけだし…。
俺の中では、被害者扱いには出来ないかな… }」
宮島梓眞
「{ お前の言いたい気持ちは分かるよ。
そうかも知れねぇけど、他の奴等はそうは思わねぇだろ。
こんな惨たらしい状態にされたら、誰だって被害者だって思うし、被害者扱いするだろうし、被害者扱いされるって。
報復にしたって幾らなんでもやり過ぎだ。
度を超えてるだろ }」
境戸託司
「 …………そう、だよな…。
{ 死人が出てないのが不思議なくらいだし…。
普通だったら間違いなく死んでいてもおかしくないのに生きてる…。
──いや…敢えて “ 生かされている ” って状態なのかな? }」
宮島梓眞
「 “ 生かされてる ” …か。
{ 自分達の犯した罪に後悔しながら、苦しみながら、生きて償え──って所か?
……おっかねぇ話だな }」
境戸託司
「{ 瀬圉さんは、彼,彼女達をどう思ってるんだろう…。
瀬圉さんの気持ちを知りたい… }」
宮島梓眞
「 まあ、頑張れよ。
俺に出来る事があれば、協力は惜しまないしな。
確りサポートしてやるよ☆ 」
境戸託司
「 サンキュ。
──ならさ、来月にWデートしよう!
段取り頼むな 」
宮島梓眞
「 Wデートか。
いいんじゃないか?
ハードルは高そうだけどな! 」
境戸託司
「 何とか頑張るよ 」
宮島梓眞
「 ──なら、一体誰を俺の彼女役に選ぶかな〜。
候補者に名乗りを挙げる勇者がいるのかが問題だな… 」
境戸託司
「{ 叭瀬尾の関係者は避けよう。
瀬圉さんに不信感を抱かれたら此方の計画も水の泡になり兼ねないしさ }」
宮島梓眞
「 だよな…。
{ 殺意を抱いてWデートをされても困るからな。
かと言って素人を使うわけにもいかない。
満仁谷さんに頼んでみるわ }」
境戸託司
「 そうだね。
──じゃあ、俺もそろそろ行くよ。
講義に遅れたら大変だからさ 」
宮島梓眞
「 おう!
俺は今日の講義は終わったから寛いどくわ。
{ ──ああ、瀬圉衛美が話してた学食員と接触してみるわ。
俺達の知り得ない情報が手に入るかも知れないからな。
お前は瀬圉衛美と仲良くなる方向で集中してろよ }」
境戸託司
「 分かった。
頼むな 」
境戸託司は、宮島梓眞へ手を振ると中庭のテラスから去って行った。
宮島梓眞
「 ………………ミイラ取りがミイラにならなきゃいいんだけどな… 」