♥ 大学 2 / 昼休み 2 / テラスでランチ
衛美
「( 食堂で受け取るんじゃなかったのかしら?) 」
境戸託司
「 中庭のテラスで食べるなんて久し振りだよ。
──っていうか、それよりも……どうして宮島が此処に居るんだよ?
彼女を放っといていいのか? 」
宮島
「 彼女は風邪で休んでるよ。
見舞いに寄って帰るつもりだよ 」
境戸託司
「 そうなのか?
風邪か……早く治るといいな。
今年の風邪は、しつこいみたいだからさ 」
宮島
「 だな。
──で、託司は、女子高生を連れ込んで昼食か?
何処から拉致して来たんだよ? 」
境戸託司
「 拉致してない!
俺がそんな事しないって解ってるだろ? 」
宮島
「 悪い!
拉致されかけたのは、託司の方だったもんな!
ハハハ 」
境戸託司
「 ばっ馬鹿(////)
瀬圉さんの前で変な事、言うなよ!! 」
衛美
「 興味深い話ね。
境戸君が拉致された話… 」
境戸託司
「 されてないから!
未遂だったから(////)」
宮島
「 男にも女にも痴漢された事もあったよな 」
境戸託司
「 ちょっ(////)
何で余計な事ばっか言うんだよ! 」
衛美
「 痴漢されてたの?
驚きね… 」
宮島
「 今は見る影もないけど、託司は高1の夏休み前までは可愛かったんだぜ。
夏休み明けにはクラスメイト全員が驚いてたよ。
『 これがあの境戸なのか?! 』ってな。
ハハハ 」
境戸託司
「 宮島!!
いい加減にしろよ。
俺の恥ずかしい話を瀬圉さんにするなよ(////)」
衛美
「 見てみたいわ。
夏休み前の境戸君 」
宮島
「 そうか?
なら、明日にでも写真、持って来てやるよ 」
衛美
「 ありがと。
楽しみにしてるわ、宮島君 」
宮島
「 梓眞でいいって。
宮島梓眞!
託司と幼稚園からの腐れ縁なんだ。
託司の事で知りたい事があったら、遠慮しないで何でも聞いてくれよな! 」
衛美
「 ありがと。
頼りになるわ。
梓眞君 」
境戸託司
「 宮島!
俺を差し置いて瀬圉さんと仲良くなるなよ! 」
宮島梓眞
「 心の狭い奴だな〜 」
境戸託司
「 瀬圉さんも名前呼びしなくていいよ!
苗字呼びでいいよ! 」
衛美
「 “ あずま ” って、苗字みたいで呼び易いのよ 」
宮島梓眞
「 そうそう。
良く言われるんだよな〜。
俺の名前って本当に呼び易いからさ、今でも “ あずま ” の方が苗字だと思ってる奴もいるぐらいだからな。
“ あずま ” が名前だって教えると驚かれるぐらいだよ 」
境戸託司
「 宮島!
瀬圉さんの前で “ 梓眞 ” “ 梓眞 ” って連呼するなよ! 」
宮島梓眞
「 妬くなよ。
自分が名前呼びしてもらえないからってさ。
女々しい奴だな〜 」
境戸託司
「 妬いてないだろ!(////)」
衛美
「 “ かずま ” だったら名前ぽかったわね 」
宮島梓眞
「 だろ〜?
それ、親に言った事あるんだよな〜 」
境戸託司
「 お前の話はいいんだよ!
瀬圉さんと話したいのは俺なの!
お前は気を使って少し黙ってろよ 」
宮島梓眞
「 酷い事、言うな〜。
唯一の味方に向かって〜。
“ 彼女を欲しがってる ” って言いふらすぞ? 」
境戸託司
「 止めろよ!
そういいの!
蕁麻疹が出ちゃうだろ!! 」
衛美
「 蕁麻疹? 」
境戸託司
「 あ……(////)
いや、あの…ええと…… 」
宮島梓眞
「 あれ?
コイツから聞いてないの? 」
衛美
「 何を? 」
宮島梓眞
「 何だよ、話してないのかよ。
一致ょ前にカッコつけやがって!
可愛いなぁ〜 」
衛美
「 何なの、蕁麻疹って?
知りたいわ 」
境戸託司
「 言うなよ(////)」
宮島梓眞
「 いいじゃん。
恥ずかしがる事ないだろ。
これから友達になろうって言うのに隠し事はフェアじゃないしな〜 」
境戸託司
「 ちょっ…本当で止めて(////)」
宮島梓眞
「 コイツ、昔から女性不信なんだよ。
女性恐怖症ってのも入ってるかもな。
異性に迫られると蕁麻疹が出る体質なんだよ!
ウケるだろ?
イケメンなのに、蕁麻疹が出るから異性とは付き合えないってわけよ。
コイツ、小学4年の時にさ、美人のお姉様達に拉致られて、チヤホヤされちゃったからさ……。
それからよ 」
衛美
「 チヤホヤ?
チヤホヤされただけで? 」
宮島梓眞
「 あ〜……一般的に使われる “ チヤホヤ ” の意味とは違うんだな〜。
そうだな…… “ 人様には言えない悪戯をされた ” って言えば分かる? 」
衛美
「 ……何となく 」
境戸託司
「 おい!
勝手に脚色するなよ!!
何もされて──なくはないけど!
厭らしい事は何もされてないよ、瀬圉さん 」
宮島梓眞
「 美人なお姉様達にあちこち、お触りされたんだろ? 」
境戸託司
「 撫で撫でされただけだよ(////)」
宮島梓眞
「 言い方が違うだけで、意味は同じだろ〜 」
境戸託司
「 ち・が・うっ!!
断じて違うからな!!
瀬圉さんも、宮島の言う事を真に受けないでよ?
95%は嘘なんだから 」
宮島梓眞
「 何て言い草だよ!
託司から聞いた話を正確に話してるだけだぞ? 」
境戸託司
「 何処がだよ! 」
衛美
「 …………私に触ろうとしたわよね?
蕁麻疹が出るのにどうしてなの? 」
境戸託司
「 え…えと……それは(////)」
宮島梓眞
「 ああ、託司は迫られるのが駄目なだけなんだ。
迫る方だと蕁麻疹は出ないんだよ。
男は何に対しても主導権を握りたい生き物だからな。
追い詰めて、言う事を聞かせたいんだよ。
だよな〜〜〜、託司 」
境戸託司
「 違うって言ってるだろ!!
もう、いい加減にしろよ! 」
宮島梓眞
「 俺の話は嫌なんだろ?
だから、お前の話をしてるんじゃないか。
感謝はされても文句を言われる筋合いはないと思うけど? 」
境戸託司
「 だからって!
選りにも選って、俺の恥ずかしい話をしなくてもいいだろ? 」
宮島梓眞
「 打ち解ける為には、恥ずかしい話をした方が、いいんだよ。
異性と仲良くなりたいなら、好感度よりも親近感が大事なんだぜ 」
境戸託司
「 他の話でも親近感は湧くだろ!! 」
玄武
『 振り回されているな 』
衛美
「( そうね…。
すっかり宮島君のペースね。
お邪魔虫は退散した方が良さそう )」
玄武
『 なかなか面白い2人だ 』
衛美
「( そりゃ、良かったわ… )
──食べ終わったし、私は行くわ。
2人は仲良しなのね。
話が聞けて楽しかったわ 」
境戸託司
「 ええっ?!
瀬圉さん、もう行くの?
じゃあ、俺も── 」
衛美
「 お弁当、未だ残ってるじゃないの。
食べずに残すのは失礼だわ 」
境戸託司
「 …………そう、だね… 」
衛美
「 ──…講義が終わったら連絡するわ。
境戸君のLINEのIDを教えて 」
境戸託司
「 !!
うん、勿論だよ(////)
あっ、宮島は、教えなくていいからな!
IDを交換するのは瀬圉さんと俺の2人だけだから!!」
宮島梓眞
「 連れない事、言うなよ 」
境戸託司
「 これ以上、邪魔するならお前の彼女に言うからな!! 」
宮島梓眞
「 告げ口する気か!?
サイテーだな、託司… 」
境戸託司
「 俺だって男だからな。
言われっぱなしじゃ終わらせないよ 」
衛美
「 ──ぷっ。
本当に仲良しね。
此処まで見せ付けられるとは思わなかったわ… 」
境戸託司
「 ちょっ(////)
違うよ!
見せ付けてないから!
俺が心から仲良くしたいのは瀬圉さんだよ!!
宮島は、どうでもいいんだ 」
宮島梓眞
「 はぁん?!
俺は『 どうでもいい 』って何だよ!
カーーーッ、何て奴だよ、託司!
お前って奴はよ〜!
つくづく俺の優しさと友情を踏みにじるよな〜〜〜 」
境戸託司
「 踏みにじってはないだろ!
変な言い方するなよ… 」
宮島梓眞
「 チッ…もういいから、さっさとお互いのID交換しろよ。
──前々から思ってたんだよ。
お前には1度、友情という名の説教をしてやらないといけないってな!! 」
境戸託司
「 何でだよ?! 」
衛美
「 ──ふふふ(////)
じゃあ、帰りにね 」
境戸託司
「 あ…うん(////)
( 帰りに…(////) )
──あっ、俺も今日の講義が終わったら、LINEするよ! 」
衛美
「 うん。
待ってる 」
境戸託司
「( 待ってる…(////) )
帰りね、瀬圉さん!! 」
立ち上がった境戸託司は、テラスから去って行く衛美の姿が見えなくなるまで見送った。
宮島梓眞
「 …………たく、声…でけぇよ… 」