♥ 登校中 2 / 拒絶
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「 ──おはよう、瀬圉さん! 」
衛美
「 はあ?
──って…………また、アンタなの?! 」
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「 あはは…『 アンタなの? 』は酷いな……。
境戸託司だよ。
俺の事は親しみを込めて、託司って呼んでよ 」
衛美
「 “ 呼ばない ” って言ってる!
私に『 構わないで 』って言ったよね? 」
境戸託司
「 俺はさ、瀬圉さんと仲良くなりたいんだ。
友達になりたい! 」
衛美
「 諦めて! 」
境戸託司
「 諦めない!! 」
衛美
「 諦めなさないよ!
私は異性が── 」
境戸託司
「 嘘は止めてほしいな 」
衛美
「 嘘?!
──嘘ってどう言う事? 」
境戸託司
「 ………………昨日、食堂で学食員と仲良く…楽しそうに話していたよね?
見ていたけど…凄く親しそうだったよ 」
衛美
「 …………盗み見てたなんて厭らしいわね 」
境戸託司
「 ちっ違うよ!
盗み見なんてしてない(////)
食堂に入ったら偶然……。
帰りも声を掛けようとしたら、2人で車に乗り込んで何処かへ行ってしまったし…… 」
衛美
「 其処も盗み見てたわけ?
厭らしい… 」
境戸託司
「 だから、偶然…だよ!! 」
衛美
「 さっきから『 偶然、偶然 』って言ってるけど──、この世に “ 偶然 ” なんてないの。
あるのは “ 必然 ” だけよ。
折角だし、これを機会に私と仲良くなるのは諦めてくれると嬉しいんだけど? 」
境戸託司
「 …………瀬圉さ── 」
思いもよらないキツい口調で、衛美から拒否される境戸託司は、悲しい気持ちになった。
衛美と話したい境戸託司は、衛美の腕を掴もうと手を伸ばした。
衛美
「 ──触らないで!!
私に触ると酷いわよ!! 」
咄嗟に身を引き、予想外な拒絶反応をした衛美に対し、境戸託司は思わず怯んでしまい、手を止めた。
行き場のなくなった手は、どうしていいのか分からない様子だ。
衛美
「 私に “ 触ろう ” なんてしないで!!
身内以外は── 」
境戸託司
「 …………ご、ごめん…。
別に変な事をしようとしたわけじゃないんだ。
…………はは…拒絶されるくらい俺って嫌われて── 」
衛美
「 ……あ…ちが──……そ…そう!
そうなの!
解ってくれた?
──私は、異性には触られたくないの!
これに懲りたら私には近付かないでよね!! 」
そう言うと衛美は、境戸託司の前から走り去った。