♥ 登校中 1 / in玄武
衛美
「( ──全くもう!
信じられない!!
何だって外食先で彼奴と出くわさないといけないの?!
本当、昨日はサイテー!!
折角の楽しい気分が台無しよ!! )」
玄武
『 どうどう。
衛美、落ち着け 』
衛美
「( はぁぁぁぁん?!
これが落ち着いていられる事ぉ?!
冗談は言わないで!! )」
玄武
『 然しな… 』
衛美
「( 然しも、案山子も、駄菓子も、ないっ!!
何だって選りにも選って、彼奴が、あの店で、店員なんか──!! )」
玄武
『 “ 此方に戻って来た ” と言っていたな。
“ ただならぬ事情があって ” とも言ってもいた 』
衛美
「( 彼奴の事情とか、どうでもいい!!
兎に角、あの店には2度と行かない!!
絶対に! )」
玄武
『 運転免許も持っていない衛美に行けるとは思えないがな。
道順も店の名前も覚えていないだろう 』
衛美
「( …………そういや、そうよね…。
行こうにも行けないか…。
良かった!! )」
玄武
『( 賢導秀志が戻って来た──という事は、厳蒔弓弦も戻って来ている──という事か…。
少々、厄介な出来事が起こるかも知れないな…。
いや──既に起きている……か )』
衛美
「( あ〜〜〜もう、憂鬱〜〜〜…… )」
玄武
『 まるで、憂姫だな 』
衛美
「( はあ?
憂姫ぇ〜??
誰なのそれ? )」
玄武
『 憂いている少女──という意味だ。
大昔は未婚の少女の事を “ 姫 ” と表現していたからな 』
衛美
「( ふ〜〜ん?
…… “ 姫 ” は止めてほしいかも。
“ 姫 ” って言われるような柄じゃないし…第一、恥ずかしいわ… )」
玄武
『 そうか?
……まあ、昔で言えば完全に行き遅れ…だしな 』
衛美
「( 行き遅れ──って?!
何時の時代の話よ? )」
玄武
『 千年以上、前だな 』
衛美
「( 千年って──。
平安時代?? )」
玄武
『 そうだな。
平安京は知っているか? 』
衛美
「( まぁ……、一応はね。
……あっ、そう言えば、再来週に映画が公開されるってCMで流れてたわね。
バックトゥー・ザ・陰陽師・ナウ──だったかしらね??
“ あなたの知らない「 陰陽ライフ 」教えます ” って、妙にふざけたタイトルの──。
コメディなのかシリアスなのか分からないけど…今、ちょっとした陰陽師ブームが来てるもんね。
それに肖った映画なのかも )」
玄武
『 観てみたいな 』
衛美
「( ええっ?!
陰陽師の映画に興味あるの? )」
玄武
『 勿論だ。
ワタシは実際に平安京で暮らしていたからな。
現代人が平安京をどのように考えて作ったのか気になる 』
衛美
「 そうなの?
玄武が『 どうしても 』って言うなら行くけど…… 」
玄武
『 いいのか、衛美?
恩にきる 』
衛美
「( 別に…。
何時も守護ってもらってるもんね。
──その代わり、実体化しさないよ。
私に1人で行かせるなんて許さないから!! )」
玄武
『 ああ、勿論だ。
実体化は朝飯前だ。
何の問題もない。
再来週が楽しみだ 』
衛美
「( 『 知ってる平安京と違う! 』って、文句は言わないでよ? )」
玄武
『 楽しみではあるが、大して期待はしてない。
大丈夫だ 』
衛美
「( そう?
ならいいけど…… )」