♥ 放課後 1 / デート 1
午後の講義が終わってから衛夛のスマホへLINEをする。
校門へ向かうと黒塗りの高級車が停まっていた。
そうか…車で行く気なのか……。
過保護過ぎるでしょ、≪ 瀬圉家 ≫の本家は!!!!
衛夛
「 衛美ちゃん!
待ってたよ 」
衛美
「 衛夛…… 」
黒塗り高級車の後部座席から降りて来たのは誰でもない我が弟だ。
後部座席のドアを開けてくれたのは衛夛専属のSPさん。
誰が見てもお高くて高級品な黒いサングラスとスーツをビシッと完璧に着こなす長身で黒髪のSPさん。
衛美
「 衛夛…それに乗って行く気?
目当ての公園は遠いの? 」
衛夛
「 いんや。
直ぐ其処の公園。
ああ、でも…歩いては行けないか…… 」
衛美
「 どうして? 」
衛夛
「 ちょっちさ〜……色々あるんだよね〜 」
衛美
「 はあ? 」
衛夛
「 いいから、乗って 」
衛美
「 う、うん 」
衛夛に促されて高級車の後部座席に座る。
流石は高級車なだけあって、車内はピカピカでシートも座り心地がいい。
こんなに素晴らしい車に毎日乗って登下校しているなんて、羨まし過ぎるんですけど!!
何なの、この天と地底程に違う差は〜〜〜!!
衛夛が分家の長子として産まれていたら、私が本家の養女になっていたかも知れないのに!!
……………………宿業を呪ってもいい??
衛夛
「 凱和、出せ 」
凱和
「 はい 」
衛夛専用高級車の専属の運転手さんの名前は、凱和さんらしい。
それにしても……どう見ても目上の凱和さんの名前を呼び捨てにしたり「 出せ 」って命令したりして……かなり失礼なんじゃないの??
衛美
「 衛夛!
運転手さんの名前を呼び捨てたり、命令したり…年上の人に失礼だよ! 」
衛夛
「 好きで言ってるんじゃないよ。
そう言わないと動いてくれないんだよ。
このお兄さん達はさ 」
衛美
「 はあ?
……どういう事なの? 」
衛夛
「 義父さんの教育方針の1つだよ。
≪ 瀬圉家 ≫次期当主として──、使用人には “ 敬称を付けない ” “ 敬語を使わない ” とかさ。
色々と決まり事があるんだよ…… 」
衛美
「 へえ…?
そうなんだ?
……大変ね? 」
衛夛
「 本当、マジで大変だよ!
ストレスも溜まるし……その内、自慢の髪が禿げて来るかも…… 」
衛美
「 髪の抜けた衛夛か。
……ちょっと見てみたいかも? 」
衛夛
「 止めて…… 」
凱和
「 ──若、着きました 」
衛美
「 …………は?
若ぁ??
衛夛…『 若 』って呼ばれてるの? 」
衛夛
「 ……うん(////)」
衛美
「 へえ… “ 若 ” ねぇ?
何かヤの付く職業の人みたいね… 」
衛夛
「 言うなよ(////)
──ほら、降りるぞ! 」
衛美
「 は〜い♪
若様♥ 」
衛夛
「 呼ぶなよ(////)」
SPさんがドアを開けてくれる。
高級車を降りた私の視界に入った公園は、今までに見た事のない綺麗過ぎる公園だった。
衛美
「 こんな公園があったんだ…… 」
衛夛
「 ≪ 瀬圉家 ≫が管理してる公園の1つだよ。
他にも幾つかあるんだけど、大学から1番近い公園が此処なんだ 」
衛美
「 へえ~~……公園まで管理してるなんて本家って凄いね。
こんなに綺麗な公園だと、維持費は相当な額なんじゃないの? 」
衛夛
「 かもね…。
オレは未だ…其処までは知らないんだ 」
衛美
「 そう…… 」
衛夛
「 ほら、此方!
此方に美味いグレープ屋があるんだ! 」
衛美
「 あっ──、ちょっ…待ってよ! 」
いきなり私を手を握った衛夛は走り出した。




