僕の彼女はキリギリス
もし、君が故障していたなら
僕は目を瞑っていたって異変に気づく。
君は無意識に警笛を鳴らしていたから。
でも、君は気づいていないんだ。
君の警笛で目が覚める。
僕の眉間は鬱憤に歪み、君の眉間は悲痛に歪んでいた。
その張り詰めた目頭をなぞり、小さな頭を左腕で抱き寄せる。
警笛は止まない。
僕の眉間は愛憐で歪み、君の眉間は苦痛で歪んでいた。
その小さな口を抉じ開け、放り込まれたそれは警笛を止める。
君は気づかない。
警笛が止まったことも、鳴っていたことも。
不機嫌な顔する君を、僕は両腕で抱えて眠る。
歯軋りの話です。
マウスピースっていう器具に嫉妬する男の話です。